クラインの壺紹介

GIGAZINEさん経由です.
実際に存在するバリエーション豊かな「クラインの壺」いろいろ - GIGAZINE
クラインの壺」は,有名な4次元物体です.もっと有名な「メビウスの帯」というものと同じで,裏表がありません.表面上を,ある点から歩いて行くと,ぐるっと周っていつのまにか元の場所に戻ってきます.子どもの頃は,ただ「へー」と思って解説を読んでいましたが,大人になって,色々あって,数学の研究者になって,位相幾何学多様体について勉強すると,意味がなんとなく分かってきました.「クラインの壺」のオブジェを見ると,なんか途中で管が突き抜けていて非連続性が気持ち悪かったのですが,それは4次元物体を3次元に投影して表現しているからなんですよね.
メビウスの帯」は,3次元空間の物体を2次元に投影しているから,わりと理解がしやすいのですよね.


ACMSIGGRAPHなんかに行くと(まあ,行かなくてもACM発行の論文を読むと),高次元を3次元に住む我々が理解できるように可視化する研究がたくさんあります.コンピュータ・グラフィックスが駆使されていて見るだけで楽しいので,ぜひ御覧下さい.


有名な研究者としては,アンドリュー・ハンソン博士が第一人者です.最近は高次元の可視化よりもスケールの違うものの同時可視化の論文をたくさん書いているようですが.
Andrew J. Hanson's Home Page

あと,ACMの学会誌に連載を持っているクリフォード・ピックオーバー博士とか.
Clifford A. Pickover's Home Page
もちろん,クラインの壺のCGも多数あります.
http://sprott.physics.wisc.edu/pickover/kleinnormcollens.jpg


ピックオーバー博士の著作を福江純博士が訳した本は,アインシュタイン・ロマン"のブラックホールのCGを作った山下博士の紹介で福江博士にお会いした時に,サインや自分の論文のコメントや批評付きで本を頂いてしまいました.
紀伊國屋書店ウェブストア
実は自分でも本屋で買ってしまい,「ブラックホールへようこそ」は2冊持っています.この本の中にLRC回路(抵抗・コンデンサ・コイル)とブラックホール等の自然科学の関連が書いており,それを元に数本の簡単な論文を書いたことがありました.
ピックオーバー先生,福江先生,山下先生へは,とても返せそううもない恩があるわけです.
もちろんハンソン先生の他にも,SIGGRAPHでハンソン先生と一緒にブラックホールの可視化のレクチャーをして頂いたヴァイスコフ博士にも感謝しております.
ヴァイスコフ博士による特殊相対性理論一般相対性理論等の可視化については,以下のサイトを御覧下さい.
http://www.tat.physik.uni-tuebingen.de/%7Eweiskopf/gallery/index.html