仮想ストロー吸い込み感
ハプティック(仮想触感)のことを,少し前に書きました.
仮想触感 - なぜか数学者にはワイン好きが多い
今日,少し前の日本バーチャルリアリティ学会論文誌を見ていると,こんなデバイスの論文が載っていました.
http://www.vrsj.org/paper/search_detail.php?paper_id=521
本論文では、口を用いて行う動作である「吸い込む」行為に着目し、口唇への感覚提示を行う吸飲感覚提示デバイス:Straw-like User Interface(SUI)を開発した。本装置は、食品を吸飲する際に口内や口唇へ伝わる感覚のみを抽出し体験することを可能とする。
こちらで紹介されています.
http://www.hi.mce.uec.ac.jp/inami-lab/ja/projects/SUI/index.html
SUI(Straw-like User Interface)は、吸い込む感覚を提示する世界初のインターフェースです.
ジュースのような液体や,もっと粘液性のある液体を「ちゅーっ」と飲む味わいを感じることができるそうです.
つまり,お試しで「仮想的に飲んで」みて,気に入ったらそのジュースを買う,というようなことが,将来的にはできるということです.
あ,やば,VR学会全国大会,申込〆切が直前ではないですか.忘れてました.
http://vr.kc.design.kyushu-u.ac.jp/i03_happyou.shtml
発表申込締切:
口頭発表 2007年6月29日(金)
技術展示・芸術展示 2007年6月29日(金)
発表原稿締切: 2007年7月27日(金)
なお,ハプティックについては,ACM(計算機科学会)の電子ニュースレターでも,次の記事が紹介されていました.
ELHUYAR Basque Research
Firstly, what is “Haptics”? This term means “of or relating to the sense of touch”.
(超訳)
そもそも,「ハプティクス」って何なんでしょうね?この用語は,「触感」に関することを意味します.
ハプティックで昔から有名な製品,PHANToMについては,例えばこちら.
http://www.nihonbinary.co.jp/Virtual/Phantom/index.htm
人間にとって物に触れるということは、私たちを取り巻く環境に働きかけ、 そして知覚する上で最も表現力に富んだ直感的な方法にひとつです。
全ての感覚の中で、触覚のみが双方向に作用し、環境を解釈し、 それに修正を加えることを可能にするものです。
仮想の物体の重さを感じること、あるいはそれが硬いゴルフボールか、 柔らかいゴムボールかを知るために、仮想のボールを握ってみること を想像してみてください。
手を伸ばして物体に触れ、固い壁の表面や水の濃厚な抵抗を感じる、 そんな感覚を、コンピューターが作り出す3次元空間上で実現できる、 それがPHANToM感触インターフェイスデバイスです。
PHANToMは,操作する道具のように見えますが,PHANToM自体が力を出します.つまり,無理に引っ張っても,PHANToMも引っ張り返して,逆に引きずられるかもしれません.
このフィードバックが数学的には難しくて,VRの研究者は苦労しています.数学者に言わせると,微妙な振動がフィードバックされるので,運動方程式の解がカオスになるからです.
理屈的には,ビデオカメラで撮影した画像が表示されるディスプレイがあるとして,そのディスプレイをビデオカメラで撮影すると,無限にディスプレイが写る画像が撮影されます.それはフラクタルあるいはカオスと化します.
日本VR学会は,まだまだ小さくて歴史も浅いですが,最も元気な学会の一つです.今後もウォッチしていきたいと思います.