受賞されない日本人ノーベル賞候補者

日記に書いてから何日もたちますが,その後のノーベル化学賞の件もあり,未だマスゴミフィーバーの模様のノーベル賞です.
ノーベル物理学賞2008 - なぜか数学者にはワイン好きが多い


さて,バカバカしい南部先生が日本人のノーベル物理学賞受賞者と数えていいのかと言った議論は華麗にスルーしまして,以前,「もっともノーベル賞に近い日本人」という話を書きました.
ベンジャミン・フランクリンメダル2007 - なぜか数学者にはワイン好きが多い

でも...ベンジャミン・フランクリンメダルまでなら,日立の外村氏や産総研の飯島氏も取ってるんですよね...

特に,外村氏は,日本で最もノーベル物理学賞に近い人と長年言われています.しかし,まだ取れていません.

粒であり波である,素粒子を可視化した業績は,凄いと思いました.もっと世界的に有名になっても良いと思うのですが...

いや,業界では世界的には有名人ですが,日本で「尊敬する科学者は?」と聞かれて,「アインシュタイン」と答える人はいても,「外村さん」と答える子どもはいないでしょう.

他にもおります.物理の世界では.
例えば,ペンローズやホーキングがノーベル賞を取っていないのと同様,日本の宇宙論理論物理学者もノーベル賞は取れておりません.宇宙論以外に業績があってもです.ペンローズやホーキングと同様.

その代表格は,両佐藤氏.

まず,年長順ということで,佐藤文隆先生.
佐藤文隆 - Wikipedia

1973年 - 冨松彰とともに、アインシュタイン方程式におけるトミマツ・サトウ解を発見した(この業績により冨松とともに仁科記念賞を受賞)。

教員の紹介

最近興味持ってるテーマは「宇宙線の最高エネルギーと相対性原理の破れ」。これで1972年に論文を書いたが、観測が本格化してまた面白くなっている。 EUSOという観測グループの一員でもある。
他には 「力学と対称性、ゲージ力学」「量子力学と時間」といったことです。
簡単な問題を数理的に高級な概念で表現することに凝っています。例えば、滑車という拘束系の量子力学をゲージ場の量子化でのBRSTの方法で解くとか。

人生経験が長いのでそれを基礎に一杯本を書きたいと思っています。


それから,次に佐藤勝彦先生.
佐藤勝彦 - Wikipedia

1981年にアラン・ハーヴェイ・グースとほぼ同時期に、インフレーション宇宙論を提唱することが出来た。

http://www-utap.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~sato/


私も両先生には強く影響を受けました.一般向けの書籍につきましても,佐藤文隆先生の著作では,例えば
http://www.amazon.co.jp/%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E8%AB%96%E3%81%A8%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%AB%96-1981%E5%B9%B4-%E4%BD%90%E8%97%A4-%E6%96%87%E9%9A%86/dp/B000J7XHR2
これは凄い本で,わずか240ページで電磁気学から特殊相対論,変分原理から一般相対論,ゲージ理論ブラックホール重力波まで説明してしまっている上に,粒子の運動方程式だけじゃなくてポテンシャルエネルギーに着目した説明,及び時空の歪みによる重力の影響で変わる角度の概念の説明など,名著の名にふさわしいものです.
また,小玉先生との共著のこちらも,紹介せざるを得ません.
http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%80%E8%88%AC%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E6%80%A7%E7%90%86%E8%AB%96-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E8%AC%9B%E5%BA%A7-%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E3%81%AE%E7%89%A9%E7%90%86%E5%AD%A6-%E4%BD%90%E8%97%A4-%E6%96%87%E9%9A%86/dp/4000104365
わずか8ページ目にアインシュタイン一般相対性理論の作用が出てきております.また,カルツァ・クライン理論やアシュテカ理論,重力理論の量子化の説明もあり,わずか250ページでこの密度,そしてバーコフの定理から重力の正準理論まで解説があり,富松・佐藤解については,「TS解」とサラッと...


佐藤勝彦先生の著書もお勧めは多数ありますが,例えば
http://www.amazon.co.jp/%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E6%80%A7%E7%90%86%E8%AB%96-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%89%A9%E7%90%86%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-9-%E4%BD%90%E8%97%A4-%E5%8B%9D%E5%BD%A6/dp/4000079298
なんかも良いです.佐藤文隆先生流に,変分原理から始まります.


この3人は,10年以内にノーベル物理学賞を取るでしょう.宇宙論からは難しいとは思いますが,彼らが取らなかったら,ノーベル物理学賞も地に落ちたものです.
あ,とは言え,じゃあホーキングやペンローズは...と言われると,返答に困りますが...