今日は,応用数理学会JSIAM年会申込

〆切日でした.

...発表できるような研究成果はなかったんだけど,応用数理学会だけはどうしても出席したくて,何日か発表のネタを必死に考えました.

最近やってる統計的推測で行く手もあったのですが,応用数理学会では日本の数値解析の大御所とその御弟子さん一派が御参加なされるのは確実なので,数値解析のネタで行くことにしました.

しかし数値解析なんていう歴史ある分野でそうやたらと発表ができるはずがないので,自分の趣味の研究である一般相対性理論と絡めました.数値解析の分野としては,やはりシンプレクティックで行くことにしました.そういうわけで,結局,質量を持つ物体の運動方程式をシンプレクティック数値解法で計算する,ただしニュートン的な運動方程式ではなく,相対論的にあらゆる曲がった時空を対象とする,ということで申し込みました...

私は相対論的な運動方程式数値計算には,2種類あると思っています.一つは,アインシュタイン方程式,いわゆる重力場方程式そのものの解を数値的に計算するもの.Regge方程式やADM方程式を解くものがこれです.
もう一つは,アインシュタイン方程式の解を使って立てられた物体の測地線の方程式を数値的に解くもの.こちらは,アインシュタイン方程式の解析解を利用します.私が興味があるのはこちらです.

そして,二つのどちらにも,シンプレクティック数値解法は使われています.
今回JSIAMに申し込んだのは,後者の運動方程式をシンプレクティックに解く方です.今までは質量がゼロの光線の運動方程式だけを発表してきたので,質量のある物体の方程式について申し込みました.

Regge方程式やADM方程式は,数値相対論と呼ばれる分野なのですが,数学的の高度ながら,不思議と伝統的に単純な差分法などの安定性の低い数値解法が使われてきました.近年,ADM方程式にシンプレクティック数値解法を使ったプレプリが出てますが,数値解析的にはレベルは低いとしか思えません.相対論屋さんは連続的な世界が好きらしく(私もそうです),離散的な世界は苦手なようです.

幸い,日本は数値解析のレベルは高いと思います.そしてそれは基礎的な分野に留まらず,「力学系」という相対論を含む分野に成長しています.数値解析,物理,という分野にもこだわらず,「数理科学」という分野に着始めていると思います.(数理科学メーリングリストwww.mathsci.orgもよろしく)

数年,10数年のうちに我々の仲間から世界的に傑出する研究が現れるのを確信しつつ,ワインを飲みながら考察を進めます.(まあ,酔っ払ってうだうだ考えるだけとも言う)