Mathematica 6.0

MathematicaWindows用)は,今回のバージョンアップで,私の中では最強になりました.

私の専門でもある微分方程式の数値解法については,バージョン5.0で,既にシンプレクティック数値解法が採用になっていました.

・ Methodオプションに明示的に与えられる設定:

"Adams" , 1階から12階の予測子・修正子Adams
"BDF" , 1階から5階の陰的後退微分
"ExplicitRungeKutta" , 2(1)次から9(8)次のルンゲクッタ法の適応的埋込み型ペア
"ImplicitRungeKutta" , 任意次数の陰的ルンゲクッタ法族
"SymplecticPartitionedRungeKutta" , 分離可能なハミルトン系のために挿入されたルンゲクッタ法

バージョン6.0の実装ノートを見ても,微分方程式については余り変わっていないようです.ただ,数値積分法が改良されたそうなので,付随して微分方程式の数値解法も改善することができるでしょう.
http://reference.wolfram.com/mathematica/note/SomeNotesOnInternalImplementation.html

さて,じゃあ何が大きく変わったかというと,3次元グラフィックスです.
Interactive 3D Control—Wolfram Language Documentation

ドラッグ : 3Dグラフィックスをインタラクティブに回転する

New in 6.0: Visualization & Graphics—Wolfram Language Documentation

Graphics3D(変更):リアルタイムの回転等がサポートされるようになった

古参でフリーのGNUPLOTでさえできた,3次元のグラフをマウスでぐるぐる回すということが,今までWindows版のMathematicaでは出来ませんでした.UNIX版では昔からできましたが.
それが今回,可能となったということで,論文に入れる図が作りやすくなりました.
基礎研究にもドキュメンテーションにもプレゼンテーションにも使えるMathematica,最強です.
詳しくは書きませんでしたが,3次元グラフはぐるぐる回すだけじゃなく,パラメータをスライドバーによってマウスで変化させてリアルタイムでグラフを描画するというトンでもない機能も追加されました.

...ただ,どうしてこんなに値段が高いのでしょう.バージョン5.5からのアップグレードで,ヒューリンクスさんから買ったのですが,約20万円でした.
HULINKS | Mathematica 日本語版

Wolfram デモンストレーション・プロジェクト

* ウルフラム・デモンストレーション・プロジェクトには、バージョン 6 で導入された動的操作を実際にお試しいただける 1,000 件を超える .nbp ファイルが掲載されています。Flash 形式でのブラウザでの閲覧又は、ノートブックをダウンロードして Mathematicac Player を使用した閲覧・操作が可能です。

今なら,ほぼ同じ値段で,アップグレードじゃなくてフルのMapleの移行キャンペーンもやっています.
http://www.cybernet.co.jp/maple/info/campaign.shtml

Maplesoft では、2007年9月末までのキャンペーンとして、現在他社の数学ソフトウェアをお持ちのお客さまで Maple への乗換えを検討されいている方向けに、「他社数学ソフトウェアからの乗換えキャンペーン」を行っております。

対象製品は、「Mathematica」と「Mathcad」 です。
この機会を利用して、ぜひMapleのご利用をご検討下さい。

私は,Mapleも買ってみようかと思います.このMapleを扱っているサイバネットさんは,欠かさず日本数学会や日本応用数理学会の大会にデモに来て下さって色々情報提供をしてくれるので,ぼちぼち頂いた情報料だけでも20万円くらい出しても良い気になっています.
数式処理ベース STEM コンピューティング・プラットフォーム Maple:サイバネット

数式処理・数式モデル設計環境 Maple (メイプル)
数学・物理・工学の専門家やエンジニアなど全世界200万人のユーザが選ぶ
数式処理・数式モデル設計環境【Maple

あと,この辺りの話題に関心のある方は,数学会,応用数理学会,情報処理学会などと比べてまだまだ会員数が少ない,日本数式処理学会もよろしくお願い致します.
Jssac Homepage

日本数式処理学会は, 数式処理に係わる研究・開発・応用・利用に深い関心を抱く者から成る組織であり,
会員間および関連組織との相互協力・交流を通じて, 数式処理の進歩・ 発展・ 普及 を図ることを目的とする学会です.

どちらかというと数学会のような専門化タイプの学会ではなく,応用数理学会のような分野横断型の学会です.