コニー・ウィリス「インサイダー疑惑」
原題は「Inside Job」.なんでタイトル変えたんでしょうね.オチを読むと原題の意味が分かります.
と思ったら,変えた理由は特に無いようです.訳者あとがきで,次のような一文がありました.
原題の「Inside Job」とは,「内部の者の仕業」とか「内部犯」の意味(直訳しても駄洒落のニュアンスが伝わりにくいので,邦題は経済用語に横滑りさせました).
おいおい(笑).そんなあっさり(笑)。
とは言え,私もコニー・ウィリスの小説を読んだのは初めてで,それを知ったのは「トンデモ本の世界W」で紹介されていたことから.
メンケンはどこにいる?
正直言って山本弘氏の要約は上手で,そもそもこの作品は長編でなく,作品のほとんどは「トンデモ本の世界W」を読めばいいような感じです.
しかし敢えて紹介を省略してあるオチのために,ハードカバー2000円の「マーブル・アーチの風」を買う価値があります.
初版発行初版印刷2009年のものが届きました.売れてへんのかもですね.
それにしても,ファンタジーやサイエンス・フィクションの分野はアイディア次第だとは思っていましたが,まさか「デバンカー」をテーマに娯楽小説が書けてしまうとは衝撃でした.
約100ページのこの中編を読むためだけで2000円は安すぎます.
オチは完璧で文句のつけようがありません.
山本さんの紹介と違ったのは,紹介ではメンケンもどうやって存在を証明するか悩んでいることになっていますが,そんな場面は無く,むしろ悩むことなく張り切っているようです.
でないとあのラストは無い(笑).
どうしてあんなに時間を気にするのかと思ったら...いや,まぁ,そんな感じです.
著者の紹介ページは日本語版Wikipediaにもあります.
コニー・ウィリス - Wikipedia
これだけアメリカ人を馬鹿にするアメリカ人小説家って面白いです.
「がんばれニッポン」なんて言っている間に,コニー・ウィリスはこうです.
「あんたらは,この超自然版の阿呆陀羅経を本気で信じるほど莫迦なのか?無論そうだろうな.ここはアメリカ,莫迦と阿呆の特産地だ!」
誇り高いアメリカは,バカとアホの特産地だそうで.
日本もバカとアホの名産地くらいには...無理か...