ビートルズ by ジュリアス・ファスト

かなり久しぶりに読み直しました.
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この本を紹介しているblogもありました.
Blueの雑記帳(2nd edition) ビートルズ/ジュリアス・ファスト

中学の頃だったと思う。書店である一冊との出会いがあった。
タイトルは「ビートルズ」。
表紙はアルバム「LET IT BE」のジャケット写真である。
著者はアメリカの社会学者でありジャーナリストのジュリアス・ファストという人だ。
ビートルズを聴き始めていた僕は、ためらいなくこの本をレジへ持っていった記憶がある。

お,MyNewsJapanのコメントで書いておられる方もおりました.
イラク報道の森住卓氏が産経児童出版文化賞受賞を拒否:MyNewsJapan

渡邉正裕 00:34 05/14 2004
ビートルズは65年秋にエリザベス女王からバッキンガム宮殿でMBE勲章を受けた。同時に受賞した年配者の中にはビートルズ受賞に不満をもらす者が多かった。格が下がるというのだ。これに対しジョンレノンは語った。『文句をつけてる人の中には戦争中の英雄として勲章をもらった人がたくさんいますね。人を殺してですよ。ぼくたちは人々を楽しませたことでメダルをもらったんです。』(ジュリアス=ファスト『ビートルズ』)


私が持っているのは,昭和47年初版・昭和51年13版の定価340円の角川文庫版.子供の頃,父からもらったか,父の書棚からくすねてきたものだったと思います.
とても面白い本です.ビートルズと言えば「イエスタデイ」しか知らない日本人も多くなってきているかもしれませんが,余りにも勿体無いです.10年に一度くらい組まれるビートルズ特集番組のテレビを見れば,ビートルズの生き様から芸術的な音楽,そして(平凡な言い回しで申し訳ないですが)ウィットとユーモアにとんだ記者会見の受け答えのぞくぞくする魅力が感じられます.本書でもその辺りが強調されています.まだジョン・レノンが存命の頃に出版された本だけに,一部もの哀しい部分もあります.
大英帝国勲章MBEを受けた時のコメントは上で書かれてしまっているので(全員が20代半ばの頃),同じ頃に(ビートルズがまだライブツアーに専念していた頃に)出た社会問題についての発言が,このジュリアス・ファストの本に紹介されています.
引用致しましょう.

シカゴでは,ポールがアメリカの人種差別に真っ向から文句をつけて記者たちをあわてさせた.
「ぼくはね,そのうち黒人がこの国を支配するようになると思いますよ.そうなれば,彼らは自分たちが迫害されたように白人を迫害しますよ.残酷に聞こえるかもしれないけど,それが当然の成り行きでしょう.そうじゃないかな」
リンゴも意見を述べて,人種差別なんて実際ばかげていると言った.「ぼくたちに関するかぎり,人間は人間ですからね.皆同じなんだ.観客が差別されているようだったら,ぼくたち,絶対に南アフリカでは演らないですよ」

(p.253)


まぁ,こんな真面目腐った発言は20代のビートルズらしくないかもしれません.ビートルズマニアなら,知らない人はいない有名なセリフをいくつか,ジュリアス・ファスト氏の本から.

レノンに劣らぬ回転の早さを見せたのはリンゴ・スターだった.「ベートーベンをどう思いますか?」という質問に,彼は言った.「大好きですよ,特に彼の詩がね」

(p.10)

1963年11月15日,ライムは彼ら4人を取り上げ,ジョン・レノンがロンドンのプリンス・オブ・ウェールズ劇場でコマンド・パフォーマンスの際に放った有名なビートルズふうの文句を引用してアメリカの読者を喜ばせた.レノンは叫んだのだ.
「安い席の人は拍手して,残りの人は宝石をじゃらじゃらやって下さい」

(p. 163)

長い答えはもっぱらジョンがしゃべった.
アメリカでいちばん嫌いなものは何ですか?」
「あなた」ジョンが冷たく言った.

(p.245)


ちなみに,私が生まれて初めて自分(達)のお金で買ったレコードは,ビートルズの「サージェントペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブバンド」でした.妹とお金を出し合って買ったものです.
なぜ「サージェント・ペパー」を選んだかは忘れましたが,付いてきた解説文の「シューベルトに勝るとも劣らない」という文章は,未だに印象に残っています.