大物トンデモ人物 太田竜氏,死去

驚いたと共に,全国規模の新聞で知ったという事実にも驚いたのですが...

http://mainichi.jp/select/person/news/20090520k0000m060083000c.html

太田竜さん78歳(おおた・りゅう<本名・栗原登一=くりはら・とういち>評論家、社会運動家)19日、腹膜炎のため死去。葬儀は行わず、お別れの会を後日開く。自宅は東京都文京区白山5の35の12。喪主は妻千鶴子(ちづこ)さん。

 日本共産党を離党し、57年に日本トロツキスト連盟の結成に参加。続いて第4インターナショナル日本委員会を組織。その後はアイヌ解放やエコロジーなど独自の社会運動や評論活動を行った。

例えば,文庫版の「トンデモ本の世界」p. 139を見てみましょう
http://www.yosensha.co.jp/book/b834.html
山本弘氏が,こう紹介しております.

不勉強で恥をさらすことになるが,この人がかつて左翼の大物活動家として名をはせた人物であったとは知らなかった.1930年,樺太に生まれ,1945年から日本共産党の活動に参加するが,1952年から「強制収容所国家ソ連と全世界共産党スターリン主義官僚権力とのたたかい」をはじめ,1967年にはマルクス主義と決別,処女作「世界革命」を出版.以後,32冊の著書,多数の論文を発表.1979年より,故・桜沢如一の玄米正食理論実行.1989年より,「地球維新」のための活動に入り,1990年,真科学会,天寿学会,真健康法学会などを設立….

要するにマルクス主義革命に挫折した後,アイヌ革命や,エコロジー,自然食運動(家畜制度全廃を含む)の方向に走ったようなのだ.

山本・と学会会長が書いてはるように,この人は思想的に問題はあるものの,動機的には実に純真だったのではないかと思います.
最近までユダヤ陰謀論やらイルミナティ陰謀論やら9.11アメリカ政府陰謀論やらの本を書きまくっていましたが,どうも憎めないところがあって,死去されたことが残念にさえ思えます.


ただ,純粋なことと正しいことは別なので,事実じゃないウソを広めまくっていたことも,また真実です.
とは言え,最近,特にまた活発に本を出している中丸薫氏なんかと比べると,マシなんじゃないかという気がしないでもありません...少なくとも大田氏は自分を英雄視はしておりませんが,中丸氏は「いかに自分が偉いか」「以下に自分に先見の明があるか」「いかに有名人に知り合いがいるか」(笑)という一貫した出版をしております.

その意味で,太田氏がお亡くなりになったのは残念で,あとは韮澤氏や並木氏が,長く活動してくれるのを祈るのみです.