またもタレント政治家

いや,今回はまがりなりにも元の職業が(タレントを除くと)社会問題を扱う職業の人ですので,まだマシかなぁとは思うのですが...
http://mainichi.jp/select/today/news/20080128k0000m010101000c.html

 告示後、街頭演説に立つと、たちまち辺りに人だかりができ、聴衆からカメラ付き携帯電話を向けられる人気ぶり。しかし、周囲から「タレント人気と投票は別」と言われ、「僕は物珍しいパンダかウーパールーパーみたいなもの」と終盤まで不安は消えなかった。

 舌戦が過熱する中、橋下さんは、テレビのコメンテーターとして鍛えた話術で支援を広げる。高齢者の多い会合では「不適切発言でご迷惑をおかけしました。先輩方のお知恵を拝借したい」と深々と頭を下げ、好青年ぶりを演出。一方、街頭では「今までの候補って、じじいばっかりでしょ」「やつら役人が何を言おうが全部けり飛ばす」などの毒舌で、若者を喜ばせた。

http://www.asahi.com/politics/update/0127/TKY200801270107.html

 大阪府知事選は27日投開票され、自民党府連推薦、公明党府本部支持のタレントで弁護士の橋下徹氏(38)が、民主、社民、国民新の3党推薦の元大阪大大学院教授の熊谷貞俊氏(63)、共産党推薦、新社会党支持の弁護士の梅田章二氏(57)らを破り、初当選した。38歳での知事就任は現職では全国最年少。
(中略)
 告示前の公開討論会では対立候補と政策の議論を戦わせていたが、告示後は街頭演説に立ってもほとんど政策に触れず、政党色も薄めて「大阪を変える」と訴えるイメージ選挙を展開した。その一方で自民、公明両党議員の後援会員を集めた個人演説会では政党の支援を求め、組織固めも着実に進めた。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080127-OYT1T00423.htm

 大阪府知事選は27日、投開票され、自民党府連の推薦、公明党府本部の支持を受けた無所属新人の弁護士でタレントの橋下徹(はしもととおる)氏(38)が、民主、社民、国民新推薦で元大阪大教授の熊谷貞俊(くまがいさだとし)氏(63)、共産推薦で弁護士の梅田章二(うめだしょうじ)氏(57)ら無所属新人4人を大差で破り、初当選を決めた。
(中略)
 橋下氏は、茶髪や色付きメガネのスタイルをやめて「誠実さ」を売り込む一方、無党派層への支持拡大をにらんで「政党色」を消す戦術を選択した。
(中略)
 「(出馬しない可能性は)2万%でもいい」とした態度を一転させたことや、核武装容認発言などへの批判を受けたが、圧倒的な知名度で、20〜30歳代の若年層や女性を中心に浸透。自民、公明両党の組織力にも支えられて票を積み上げた。
(中略)
 同知事選を巡っては、太田房江知事(56)が講師謝礼金を受け取るなど「政治とカネ」を巡る問題で批判を浴び、3選出馬を断念。長年続いてきた「共産VS非共産」の相乗りが崩れた。

 橋下氏は東京都出身。府立北野高、早大政経学部と進み、94年に司法試験に合格。98年に大阪市内に法律事務所を開設した後、日本テレビの「行列のできる法律相談所」などに出演して人気タレントとなった。

「まだマシ」と信じたいのですが,大阪府知事と言えば,強制猥褻罪により辞任した故・横山ノック氏が記憶に新しいところです.


そもそも日本は(まぁ,厳密には日本に限らないのですが,例を挙げるとキリがないですので),マスコミの煽り報道と一般大衆の思考停止が共存関係になって,突如として「エセ知識人」が登場するんですよね.
突如として政治家になった芸能人,いくらでも思い浮かびますよね.というか今の国会議員で,芸能人に加えてスポーツ選手が知名度で当選しています.
いや,決して芸能人やスポーツ選手が政治家になることが悪いと言っているわけではありません.
芸能人だろうがスポーツ選手だろうが,数学者だろうが物理学者だろうが,料理人だろうが作家だろうが,「社会問題・政治課題に無知な人間が政治家になる」ことが悪いと思っているだけです.


これは政治家という職業に限らず疑問に思っています.


同じく,特に専門に研究や勉強をしたわけでもなく,突如として(政治家じゃなくとも)「知識人化」した芸能人もたくさんおられますよね.
芸人のビートたけし氏や爆笑問題諸氏.北野武氏については過去の言動には疑問がありますが,芸能人とはそのような人が多いもの.芸術家としての評価は分からないでもありません.でも,ビートたけし氏も爆笑問題グループも,「NASAは月に行ってない」番組を大真面目に(当人がどう思っているかは分かりませんが,少なくとも番組の姿勢としては)司会する辺り,政治や社会問題について発言する教養や素養があるのかと疑問に思ってしまいます.
(芸人の番組を信じてしまう人達が悪い,と言うこともできますが...)
あと,ナンセンス・ギャグ漫画家の小林よりのり氏.氏の才能は凄いです.大衆は文章より絵を感じる,考えるよりも断言される方を好むということを最大限に利用した氏の「ゴーマン」シリーズには,内容のデタラメさをいちいち指摘することを忘れるほど圧倒的な才能を認めざるを得ません.
ま,頭を冷やして読み直すと,矛盾だらけな内容なのですが.


もう2008年になりました.年にして7年目にもなるのに,まだ「2001.9.11.アメリ同時多発テロは陰謀だった」という人がいまだにいて,日本語のメーリングリストに思わず書いてしまいました.(ミクシイでもこれに関するコミュニティがあります.私は発言しておりませんが.)

9.11陰謀論のウソを暴く本が好評なようなので,紹介させて頂きます.

陰謀論の罠」(amazon.co.jpより)
http://s-url.jp/?8882

なお,DVD「ボーイングを探せ」の欺瞞については,ある本に簡潔に書かれている記事があるのですが,本自体は内容的にも
表紙的にも(笑),こちらのみなさまが手に取ることは無いと思いますので,やはり紹介させて頂きます.数ページですので,
書店で立ち読みなさってはいかがでしょうか.

トンデモ本の世界U」(amazon.co.jpより)
http://s-url.jp/?8883
本の中で最初の記事となる,12ページから26ページまでです.
著者の皆神龍太郎さんは,小説「ダビンチ・コード」がタダの小説にも関わらず,ノン・フィクションだと信じてしまった人のための処方箋「ダ・ヴィンチ・コード最終解読」,例の有名なノストラダムスの本質に迫る良書「ノストラダムスの大誤解―イカサマまみれの伝説43の真相」,アメリカの病的現象である宇宙人に関する心理学的調査の報告書「人類はなぜUFOと遭遇するのか」等の著者・訳者・監訳者です.
この記事のタイトルは,以下の通りです.
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話題あれこれ(1)〜9.11陰謀論の謎を暴く!--検証「911ボーイングを探せ」
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さらに,同様に911陰謀論を唱えるベンジャミン・フルフォードさんは,こんな本を出して自らの評価を最悪なまでに下げておられます.

「まもなく日本が世界を救います ベン&龍10の緊急提言」(amazon.co.jpより)
http://s-url.jp/?8887

なぜ最悪か?それは,共著者が太田竜氏ということです.
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E7%94%B0%E7%AB%9C
Wikipediaは内容が正しいとは限りませんが,この太田氏に関しましてはさらっと目を通したところ,間違ってはいないように思えます.
太田氏が共著者だと,なぜ最悪か?
こちらの皆様なら,御記憶にある方もおられると思います.
1986年の衆院選では「みどりの党」,1990年の一斉総選挙では「地球威信党」という,いわゆるミニ政党を.
そう,NHK政見放送で,「ユダヤ人・フリーメーソンは悪魔の手先だから撲滅すべきだ」と演説した政党です.
これらの政党を立ち上げたのが太田竜氏です.かつて,1950年前後に大物左翼として有名だったので,そちらで「栗原登一」のお名前をご存知の方もおられるかもしれません.(栗原登一氏=太田竜氏=太田龍氏です.)

なお,「話題あれこれ1〜9.11陰謀論の謎を暴く!--検証「911ボーイングを探せ」の内容自体は,以前にもご紹介致しましたアメリカで発行されている雑誌「SKEPTIC」の2006年第4期号の「9/11: was there a conspiracy?」の超要約とも言えるものですので,該当のSkeptic誌を買われた方には,余り新鮮味がないかもしれません.
http://www.skeptic.com/the_magazine/archives/vol12n04.html

この際,御説明致しますと,SKEPTICというのは,「コスモス」「コンタクト」「カール・セーガン 科学と悪霊を語る」等の著者の故カール・セーガン博士,「利己的な遺伝子」「神は妄想である」等の著者のリチャード・ドーキンス博士,NHKでも特集された「ワンダフル・ライフ」の著者の故スティーブン・グールド博士,Skeptic Society創立者であり「人はなぜニセ科学を信じるのか」の著者のマイケル・シャーマー博士,日系アメリカ人物理学者で,「アインシュタインを越える」等の著者のミチオ・カク博士,マッカーサー天才基金を受賞した奇術師ジェームス・”アメージング”・ランディ氏らによって運営されている,一般大衆を騙す話題を科学的に解明・暴露している非営利組織です.

藤田幸久氏のblogでは「スティーブン・ジョーンズ博士(ブリガムヤング大学物理学教授)」なる人物のコメントが掲載されていますが,肩書きに騙されてはいけません.彼は「常温核融合スキャンダル」という物理学史上の大騒動を巻き起こした張本人の一人で,専門は核物理学や素粒子物理学であり,剛体学や建築工学の専門家ではありません.
また,自身の信仰から「キリストはアメリカに来ていた」という主張をしている人でもあります.だいたい,既にブリガムヤン
大学は辞めています.事実上の解雇でしょう.
http://newsnet.byu.edu/story.cfm/61550
当然,彼の911主張はSkeptic誌でも反論されています.


9.11陰謀論の本は莫大に出版されているので,一気に全部読むことは不可能です.なので順次チェックしていたのですが,今日,次のような本をチェックして,のけぞりました.

暴かれた[闇の支配者]の正体 ベンジャミン・フルフォード
http://tinyurl.com/25qnya

ベンジャミン氏は,中丸薫氏と対談している!
点が繋がって線になったのを感じました.

中丸薫氏は,太田竜氏とつながりがあります.
中丸薫氏という方は,自称「明治天皇の孫」で,かなり昔から「ロックフェラーやロスチャイルドなどのユダヤ系大財閥が
世界を支配しようとしている」と主張している方です.(ご存知のように,ロックフェラーはユダヤ系ではないのですが.)
http://www.taiyonokai.co.jp/profile.html

ちなみに,「明治天皇の孫」という話が限りなく怪しいことも,原田実氏が調べ上げたそうです.
原田実氏は,古代歴史書ではないかと信じられていた「東日流外三郡誌(つかるそとさんぐんし)」が,東日流外三郡誌の発見者である和田喜八郎なる人物が自ら執筆していた偽書であることを暴いた人物です.

さらに,中丸薫氏はGLAと繋がりがありました.
http://www.gla.or.jp/
GLAとは,一時期,作家の平井和正氏もハマッた新興宗教で,教義として前世やカルマの存在を肯定し,オウム真理教幸福の科学といった新興宗教の教祖が一時期在籍していた,日本において大変に影響力の大きい隠れた有名新興宗教です.
(おお!こっちの方が,よっぽど「闇の支配者」に近い)

そして9.11陰謀論本には,かのコンノケンイチ氏もいち早く(2003年)参入しています.

世界はここまで騙された コンノ ケンイチ,ケイ・ミズモリ
http://tinyurl.com/yrupsk

コンノケンイチ氏は,上記のamazon.co.jpの著作一覧を見て頂けると分かりますが,超能力,宇宙人,相対論は間違っていた,フォトンベルトノストラダムス,ファティマ予言,そしてイルミナティ(ベンジャミン氏の著作で,9.11陰謀の犯人組織とされているもの!)と,ありとあらゆるウソ本を書きまくっている人です.

きりが無いので人物紹介はこのくらいにしますが,このように,日本の9.11陰謀論には,1970年代のユリゲラー超能力ブームやノストラダムス終末大予言を盛り上げた関係者が勢ぞろいしているわけです.


さらに,この陰謀論ユダヤフリーメーソンが,9.11テロ事件を筆頭に世界征服を企んでいるという妄想話は,恐ろしいことに日本人の一部の人が信じているわけではありません.さらに,「病んだ国」こと,世界一「宇宙人にさらわれた人が多い国」アメリカだけでもありません.
私はSkypeMSNメッセンジャーICQYahoo!メッセンジャーなどのチャットソフトを使っているのですが,しばしばヨーロッパを含む世界の方がお話かけて下さります.そして時たま,親しくなった頃に「陰謀論(Conspiracy Theories)について何か知ってる?」って聞くと,そうですね,適当ですが3割くらいの方が「ユダヤ人とフリーメーソンが」と英語で話してくれます.そして3割のうちの半分くらいは,「これは真実であり事実です」と主張します.私が「それは違う.そもそもユダヤ宗教とフリーメーソンは特別な関係には無いし,フリーメーソンは各国のつながりが薄く,地球規模で繋がってはいない」と言っても「違う.私は知っている.フリーメーソンは世界を支配しようと...」(どこかの本の受け売りのようですが,最近にお話した南ヨーロッパの女性(自称)の方のSkypeの会話を訳しています)と言われて,「これは私の英語力ではとても説明し切れない」と逃げてしまうくらいです.

そういえば,温故知新なのか,最新の「SKEPTIC」誌で,またユリ・ゲラーの名前を見かけました.こちらについては,また.