マイケル・クライトン氏,死去

[CG]マイケル・クライトン死す | TechCrunch Japan

現代のベストセラー作家Michael Crichtonが亡くなった。マイケル・クライトンはその66年の生涯に「ジュラシック・パーク」、「アンドロメダ病原体」などの作品を書き、テレビドラマ「ER緊急救命室」を総指揮した。ハーバード大を首席で卒業、多数のペンネームを駆使して作品群を生み出した。

私がマイケル・クライトンの名前を知ったのは,古書店で買った「世界のSF文学総解説(自由国民社,1978年発行)」でした.
http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AESF%E6%96%87%E5%AD%A6%E3%83%BB%E7%B7%8F%E8%A7%A3%E8%AA%AC-%E7%B7%8F%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA/dp/4426611059

商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
宇宙と異星生物・未来社会・幻想と異世界・時間と次元・人類(進化)・破滅と終末・冒険とミステリー・風刺とユーモア・SF古典など396作品。ケプラーの『古典的星界旅行譚』からハインラインの『未来史シリーズ』、現代の幻想SFまで、世界と日本の代表的作品を各テーマ別に解説した、わが国初のSF名作マップ事典。

自由国民社の総解説シリーズは,ロングセラーになってますね...と思いきや,復刊.comにも出てるってことは,現在は絶版なのでしょうか.
『総解説 世界のSF文学(伊藤典夫 編)』 投票ページ | 絶版・レア本を皆さまの投票で復刻 復刊ドットコム

 「SFハンドブック」と違い作品紹介に徹しているので、SF作家の対談とかは収録されていません。しかし、用語解説が充実しているのでSF初心者は勉強になるし、翻訳家には資料として重宝するとか。1992年版を最後に改訂・増補版は出ていないようです。

さて,「多数のペンネームを駆使して作品群を生み出した」と書かれていますが,その辺りは「世界のSF文学総解説」でも,こんなふうに書かれています.

アンドロメダ病原体(The Andromeda Strain)

マイケル・クライトン(Michael Crichoton)は1942年シカゴ生まれ.他に,人造人間テーマの「ターミナル・マン」.ジェフリィ・ハドスン名義で「緊急の場合は」(アメリカ探偵作家クラブ賞),ジョン・ラング名義で「サンディエゴの暑い日」等のミステリがあり,映画「ウェストワールド」では脚本監督をつとめている.

他の評価としましては,
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/193153/

シカゴ生まれ。ハーバード大で医学博士号を取得した科学技術、とりわけ生命科学分野の広範な知識を生かし、架空の病原体をテーマに据えた初期の代表作「アンドロメダ病原体」などベストセラーを連発した。

この「博士号を取得した広範囲な知識を生かし」については,作家の山本弘氏が,著書「こんなにヘンだぞ!『空想科学読本』」
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AB%E3%83%98%E3%83%B3%E3%81%A0%E3%81%9E-%E3%80%8E%E7%A9%BA%E6%83%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6%E8%AA%AD%E6%9C%AC%E3%80%8F-%E5%B1%B1%E6%9C%AC-%E5%BC%98/dp/4872336593
にて,秀逸なエピソードを披露しています.「ジュラシック・パーク」について,

また,生物情報科学者のマーク・ボゴスキーは,小説の中に出てきた恐竜のDNA配列をチェックしてみたところ,バクテリアのものだったのでがっかりしたという.さすがのクライトンも,まさか小説の中のDNAを本当に分析する読者がいるとは思わなかったのだろう.反省したクライトンは,続編「ロスト・ワールド」を執筆する際,ボゴスキーに小説中で使用するDNA配列を作ってくれと依頼したという.

面白いです!

貴重な人のお亡くなりが続きますね...