サイエンス誌:今年のブレイクスルー

サイエンス誌のBreakthrough of the yearの一つに,ポアンカレ予想解決が取り上げられているようです.
The Poincaré Conjecture--Proved | Science

"The methods developed … should shed light on many natural systems, such as the Navier-Stokes equation [of fluid dynamics] and the Einstein equation [of general relativity]."
超訳
ペレルマンが開発した手法は,流体力学ナビエ・ストークス方程式や一般相対論のアインシュタイン方程式のような,多くの自然科学の発展を促すに違いない」

実際,物理数学を勉強したことがある人がペレルマン博士の論文を読んだら,真っ先に相対性理論が思い浮かぶ人は多かったと思います.重力を表す,リーマン幾何学の計量テンソルが論文の主役級として活躍していますから.

In 2000, when the Clay Mathematics Institute named the Poincaré conjecture as one of its $1 million Millennium Prize problems, most mathematicians believed that no breakthrough was in sight.
超訳
2000年に,クレイ数学研究所が$100万ドルミレニアム賞の問題の一つとしてポアンカレ予想を挙げた時,近いうちに解決の糸口が見つかると考えていた数学者はほとんどいなかった.

はい.考えていませんでした.が,ウィッテンの不変量のような研究を推し進めて,純位相幾何学的に解かれるのではないかと思っていました.微分幾何的に解かれるとは.
そういや,クレイ研究所は何かコメントを発表していましたっけ.


フィールズ賞のニュースは出していたようです.
http://www.claymath.org/millennium/Poincare_Conjecture/perelman+expositions.php


このポアンカレ予想に関する記事だけでも面白いのですが,他の「ブレイクスルー」として「ブレイクダウン」が取り上げられています.
Scientific Fraud | Science
言わずと知れた,黄禹錫・元ソウル大教授,ES細胞をヒトクローン胚を作成したという論文が捏造だったという事件です.