書評:「ホラーハウス社会」の中で

さて,特集を全部読む時間は今日は無いので,書評の中から,評者の風野博士の言葉を引用したいと思います.全く同感です.

90年代末あたりからだろうか.少年犯罪が急増し,さらに凶悪化しているという論調がマスコミでさかんにみられるようになった.人々は大あわてし,少年法が改正された.さらに,テレビゲームをすると脳波が認知症と同じになると主張するナンセンスな本や,ゲームによって脳内が汚染されていると警告する本がベストセラーになり,知識人として高名な文学者までもが手放しに大絶賛した.しかし,多くの論者が指摘しているように,統計的には少年犯罪は急増も凶悪化もしていない.それなのになぜ,少年犯罪の急増と凶悪化というイメージは,たやすく浸透し,国を動かすまでになってしまったか.時を同じくして,精神障害者の犯罪が増加しているという事実はまったくないにもかかわらず心神喪失者等医療観察法が性急に成立した.これはなぜなのか.

続きは「こころの科学」127号,p.124でどうぞ.