Max-Plus代数

昔,可積分系をやっていた頃にかじっていた分野の話題が,立て続けに出ていました.
http://www.siam.org/news/news.php?id=1834
礒島伸,超離散系,Vol. 48, No. 11, pp. 26--27, 数理科学,2010.

数理科学誌の方の記事は,こうまとめられています.

筆者が超離散系の研究を始めたとき,超離散系について勉強したのは本稿第2節程度の内容だけでした.皆さんは,超離散系の研究に必要な最低限の知識をもう身につけたわけです.皆さんも自分が興味を持っている対象の超離散化を考えてみませんか?

これは15年くらい前の結び目理論の業界に似ている感じですね.あの頃は,本当に勉強を始めたばかりの数学科の大学生でも,結び目の論文を書ける時代でした.
こういう分野が定期的に表れること自体が,数学の奥深さを物語っているように思えます.

確かに超離散化は,決められた手続きを踏むだけで取りあえず微分方程式系の離散化ができてしまう(結果が妥当かどうかはともかく)ので,試しに確率過程に適用してみようかと思います.
例えば,マルコフ連鎖過程の完全離散化なんて面白そうですね.超離散化されたマルコフ過程での正規分布なんてどんな感じに離散化されるのでしょう.
あとは関係しているのは,算術符号やユニバーサル符号の辺りですね...基本的に確率は総和が1になるように正規化されますから,離散化されるとそこをどう扱うのか.
そこさえいければ,超離散化された無誤差スキームによる機械学習や予測ができそうです.