日本数学会秋季総合分科会予稿〆切

私は今年は変則的に応用数学分科会に申し込んだので,本日が〆切でした.
ネタは,以前に書いたカロジェロ・モーザー系
1次元2粒子カロジェロ・モーザー模型 - なぜか数学者にはワイン好きが多い
を含んだ,いくつかの可積分系の数値解析法についてです.

ちょっと面白いと思ったのは,有理式のカロジェロ・モーザーはもちろん粒子が衝突する時点で特異点(1/0)が発生するところが有理多項式カロジェロ・モーザー系の難しいところなのですが,国立天文台の吉田春夫先生率いるチームの超離散化法では特異点をものともせずに衝突の前後で完璧に解析解をなぞるような離散解を出したことです.
各種のシンプレクティック数値積分法や,全保存型差分法,シンメトリック法よりも,吉田らの超離散化法の方が圧倒的に優れていました.いくらカロジェロ・モーザー系専用の離散化法とは言え,余りに圧倒的だったのが面白かったです.

数値解析分野の長い歴史を振り返ると,他の手法も様々な工夫を凝らすことで,専用の解法に近づくことができると思います.
ちょっとチャレンジしてみようかと思います.
若い学生さん辺りが,「カロジェロ・モーザー模型のためのRunge-Kutta法」なんて興味を持って貰えると嬉しいのですが.