放送禁止CMリストを笑う

前の出張シーズンに一度紹介した本なのですが,

言葉狩り最前線 - なぜか数学者にはワイン好きが多い

Amazon.co.jp: 実録放送禁止映像全真相―封印解除 (三才ムック VOL. 196): 本

いわゆるコンビニで売っている500円本で,期待はせずに出張先の就寝前のヒマ潰し本として買ったのですが,意外に面白いです.というのは,理由の一つに天野ミチヒロ氏がクレジットで入っています.出版社も同じで,原稿の使いまわしも多いのですが,500円にしてはアニメから映画からノンフィクションテレビ番組からテレビドラマからと盛り沢山で,お買い得です.

フルカラーの数ページも見所です.

久々に読み直しまして,いくつか紹介したい点がありましたので書いてみようと思います.

さて,今日は,上記の書籍の末尾に収録されている,「放送禁止CMリスト」を笑いましょう.
時系列で紹介されているので,その中で特にツッコミどころのあるものを,独断で紹介してみます.

「私作る人,僕食べる人」のキャッチフレーズが婦人団体から「女性蔑視」とクレームがあり,ハウス側は「差別的意図はない」と否定したが,その後打ち切られた.


このクレーム団体は,「小学校の生徒名簿で男子が先にあるのは許せない」と主張している団体です.ランダムに名簿を並べろとか,誕生日順にとか,名前順にとか主張しています.
そんなアホなことよりも,「私作る人」が女性蔑視って,調理人をむちゃくちゃ蔑視してませんか?
してますよね.反対にとらえればいいのに.「私作る人,僕食べる人」というのは,男性蔑視(男性は調理すらできない)と主張する方が賛同できますのに.

桃井かおりのセリフ「世の中,バカが多くて疲れません?」にクレームが付いたため,「世の中,お利口が多くて疲れません?」に変更された(以下略)


意味不明...

牧瀬里穂のセリフ「男だったら乗ってみな」というキャッチコピーに対して男女差別というクレームが付いたため,「キメたかったら乗ってみな」に変更された.


わはは!「男なら....」「男のクセに...」「男だろ!」が全部差別用語?!
性別を表す単語が全部差別用語とは,クレーム団体,恐るべし.

  • 1997年:日本新聞協会 新聞週間キャンペーンCM

童謡「やぎさんゆうびん」をモチーフに,新聞を読まずに食べてしまう黒ヤギと,熱心に新聞を読む白ヤギがイラストで登場.人権擁護団体から「黒人差別を助長する」との抗議を受けて放送中止に.


わははは!黒い毛のヤギさんが新聞を読まずに食べることが,黒人差別?
バカ過ぎ!ってか面白過ぎ!よくそんなことが思い浮かぶと関心してしまいます.
逆だったら,白人差別?
元の童謡「やぎさんゆうびん」は,白やぎさんも黒やぎさんも『読まずに食べた』だから,白人と黒人の両方差別?日本人は?黄色人種だからセーフ?白い肌の日本人も,黒っぽい肌の日本人もおりますが?

横尾忠則から「アイデアやコンセプトが私の作品と類似している.広告の作り手の主体性とモラルを問いたい」と抗議.直後に資生堂はCMの放送を取りやめた.


ありふれたコラージュ的な芸術作品に,最近の大御所漫画家松本零士並に子供じみた抗議を,大御所横尾氏がした恥ずかしい一件.笑うというより,情けない限りです.

どちらも馬鹿馬鹿しいクレームを間に受けて自粛されたCM.「『ブラジャー』は性的表現で不快」(おまえの頭の中が性的表現の妄想で満ちてるのでは...),「通行人や電柱上の作業者が猛獣に変身するシーンに『電設業者などへのイメージダウン』になるとのクレームがあり」(「電設業者」さんがイメージの悪い職業だと思っているのは,あなたでしょう?)等々,よく思い浮かぶものです.
また,まともに聞いて取りやめる業者さんも業者さんです.情けない...
金が余ってるんですかね.また作り直せばいいや,みたいな.