トンデモ差別理論

tullio2005-07-14

相変わらず,昔買った本を引っ張り出して読み直してました.
写真は,灘本昌久さんの「ちびくろサンボよ すこやかによみがえれ」です.
灘本先生は,単著じゃなかったこともあって「ちびくろサンボ 絶版を考える」では冷静な語り口だったのですが,こちらでは所々に熱い語り口の片鱗が見え隠れしていて,とても面白いです.

ところで私はオカルト本大好きなんですが,同じくらい,と学会のファンでもあります.と学会の初期の著書に「トンデモ本の逆襲」というのがありまして,その中に大御所,武田了円先生の名作「世界の支配者は本当にユダヤか」が紹介されています.
その名作によりますと,
・以前使われていた聖徳太子5000円札は,透かしの部分が楕円形をしているが,これはニャントロ星人の故郷である連星系のシリウスBの軌道を表現している
・神「God」を逆にすると「犬Dog」になり,シリウスは大犬座にある

また,「逆襲」から別な例で,南條優氏の「六角形の超パワー」によると,
・「6」にはパワーがあり,「六」のついた地名は栄える.東京の六本木,大阪の上本町六丁目,神戸の六甲山,金沢の兼六園
・6の倍数を1だけ超える数は「破綻数」である.例えば「7」なら,なくて七癖,七難隠す,七面倒くさい,七転び八起き,芝居には七変化,忍者は七化け,マリリン・モンローは七年目の浮気で,007は殺しの番号

こじつけってヤツだと,思わない人がおられますでしょうか.

続きましてちびくろサンボ本より,四国学院大学教授の末吉高明先生の論文が申すには,
ちびくろサンボの主人公が少年なのは,黒人男性を成人ではなく子供並みであると言うための手段であった
・サンボの服,靴,傘が略奪するところは,あらゆるものを略奪された黒人奴隷のイメージである
・食べてしまうぞと脅かすトラに,「と,とらさん.どうか,お願いです」とくりかえすサンボのセリフは,奴隷主の威嚇を前におびえる奴隷の姿である
・サンボが169枚もパンケーキを食べるラストシーンは,黒人は大食いで貪欲だということを示す

いやはや,国語が苦手な私にはそっくりに見えるのですが,いかがなものでしょう.
そして末吉氏は語る.
「あなたは黒い肌を美しいと感じるでしょうか.私たちの大半は,白い肌を美しいとし,黒い肌を醜いと感じるように歴史を通じて慣性を漂白化してきました」

美しさなんて好みによると思うのですが,私の(本当に個人的な)好みでは,毛が目立つ真っ白な肌よりも,色が入っている肌の方が好きです.というか,黒い肌って,何?

肌なんて,白と黒なんて分けられませんよ.チョコレートのような真っ黒の人もいるし,「浅黒い」という表現がぴったりの人もいます.アフリカ系アメリカ人の色が白い人よりも,肌の色が黒い日本人もいるでしょう.インド人は黒人ですか?まあ,浅黒い人も多いので,黒人にしてみましょう.じゃあ,隣りのネパールの人は?タイの人は?ベトナムの人は?インドに近いですけど,パキスタンやイランは?さらにその近くのウィグル人の人たちは?ウィグルって中国領になっちゃってますけど,中国人は黒人ですか?

私は,言葉狩りこそが差別だと,信じます.あ,復刊されたちびくろサンボ,まだ買ってないや...なんか岩波書店が文句言ってましたが,その辺もクリアにして出版して欲しかったカモ...