映像狩り

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070531k0000m040153000c.html

道行く人や電柱で作業中の人が突然、猛獣などに変身する内容で、「ごく普通の人が犯罪者になりうることを比ゆ的に表現した」という。
 しかし同社は、このCMが、電設工事などに携わる人たちに不快な思いをさせたと判断し、中止を決めた。内容を一部手直しし、改めて放送するという。

http://www.asahi.com/national/update/0530/TKY200705300380.html

歩行中の人間や電柱で作業中の工事人らが、ハイエナやハゲタカに変身するシーンで構成され、最後に「野獣はふだん、ヒトの顔をしている」とのコピーが表示される。
 同社広報室によると、身の回りの危険を猛獣で表現したが、21日以降、「電気工事人を侮辱している」などの抗議が数十件届いた。「動物を悪として描いている」との声もあった。

...表現の自由はどこに行ったのでしょう.
まず,過去の言葉狩りに酷似しているのが「電設工事などに携わる人たちに不快な思いをさせたと判断」「電気工事人を侮辱している」という,CM中止理由.じゃあ,誰だったら良いのでしょう?サラリーマン?内閣総理大臣
あなたの職業を考えてみて下さい.私の場合は,学者ですね.テレビを見ていたら,論文を執筆している学者がいるとします.そしてその人物が突如猛獣に変化したとします.頭の中で想像してみたのですが,不快にはなりません.科学者という職業が侮辱されたとも思いません.喰う・喰われるの食物連鎖の中の,草食動物を喰う側の肉食動物になっただけのこと.草食動物にとっては敵であり,脅威でしょう.でも,普通の自然のシステムです.

次,「動物を悪として描いている」という理由.草食動物にとっては肉食動物は,ある意味で悪でしょう.少なくとも,草食動物は肉食動物から身を守らなければならないでしょう.「悪」「犯罪者」とはニュアンスに違和感があるのは分かりますが,そう強く思ったら「表現力に乏しい映像だ」とでも思っておけば良くて,放映中止にまでするのは行きすぎです.


あっさりと抗議を認めてしまったセコムさんも,情けない限りです.