復刊:「びんの中の子どもたち」by 大海赫

本日,届きました.
天才カルト絵本作家:大海赫先生の9冊目の復刊.
ん?9冊目じゃないかも.「白いレクイエム」は新刊扱いだったかな?イラストが大海先生じゃなくて西岡千晶氏だったし.

ともあれ,「びんの中の子どもたち」,悪魔に立ち向かう子供の様子は,大人が信じてくれなくて自ら行動を起こす「呪われた町」(スティーブン・キング)のマーク少年,「死鬼」(小野不由美)の少女かおりを思い出させます.
大海先生は,復刊にあたって,「新しいあとがき」ということで以下のようなメッセージを書いています.

近頃,いつのまにか瓶の中に入ってしまうこどもがふえています.そんなこどもたちを見ると,胸がふさがります.ふさがった胸で,詩を作りました.読んでください.

「びんの中の子どもたち」,最後はハッピーエンドかと思えば,最後まで元の世界に戻らず,瓶の中で暮らしたいと主張する少女がいます.絵本の中では結局は主人公の説得によって気が変わるのですが,助けに来た主人公の父親が「頭をかかえました.」というのを受けた主人公の心理描写が泣けます.

キッコの耳に,おとうさんのためいきが,冬のはじめにふく,こがらしみたいに,さびしく聞こえました.

大海先生の絵本では,大人はしょせん,子供を育てるための脇役に過ぎません.実際,それは世の真理なのではないかと,思えてしまいます.

復刊.comのページによると,
著者「大海赫」 復刊リクエスト一覧 | 絶版・レア本を皆さまの投票で復刻 復刊ドットコム
「ビビを見た!」「クロイヌ家具店」「メキメキえんぴつ」「白いレクイエム」「童話 ガイコ」といった珠玉の作品が,まだ買えるようです.関東の方なら,大海先生のお店に行けば,復刊どころか出版当時の作品が買えるかもしれません.私は「ランドセルは魔女」(1984年)や「オビビーゴザイマス!」(1987年)などを売って頂く事ができました.