オカルトの惑星

この本は,他人の反応を笑ったものですが,
今日の本のネタ - なぜか数学者にはワイン好きが多い

こちらはこれから読む本なのですが,興味が近いんじゃないかなーと思って職場のお嬢さまに見せてみたら,数分,パラパラ見てたあと,「仕事にならんくなりますっ」と言って逃げ帰られてしまいました(笑).

読んでみると本当に面白くてとまりませんでした.
これも「職場のお嬢さま」が言っていたことが正しかったのですが,「この分野のありとあらゆるネタが入って」いて,同様の本に無いものとしては,UMAの話題の中で,ネッシーについて,まぁネッシーの話題は当然あるとして,「ドラえもん」が引用されているあたりです.しかも台湾版と日本版.


編者によると,これは日本学術振興会 科学研究費補助金の萌芽研究「現代日本における「オカルト」の神道と海外への伝播に関する文化研究」によるとのことです.
ちなみに萌芽研究は私も取ったことがありますし,トンデモ本の作者も取っています.
http://homepage3.nifty.com/hirorin/tondemotaisho2006.htm

 実はこの本、あまりゲラゲラ笑える内容じゃありません。というのも、ニュートン力学量子力学核融合核分裂、カオス、エントロピーブラックホールなどの解説がほぼ全ページにわたって続く本で、かなり退屈な内容です。科学的にほとんど間違っていません。正しい物理の解説書として読めるのです。
 問題はこれがファイナンスの本だということ。
 従来のニュートン力学では株価の変動を予測するのに限界がある。だから量子力学や相対論を導入しよう……というのが著者の意図なのですが、えんえんと続く物理学の解説が、いったいどう株価と関係あるのか、量子力学を具体的にどのように現実に応用するのか、読んでもさっぱり分かりません。
 日経平均が下落する時間を求める式に9.8(地球表面の重力加速度)という数値が入ってるところや、「光の速度に比べて株価のスピードははるかに遅い」と論じてるところがあります。また、情報が光速で伝わるようになれば株価も光速で変化するので相対論を導入しなければならないとか、時間を逆に進む陽電子を利用すれば「東京証券取引所で取り引きが開始される時には、すでにその日の終値が手許に届く」などと論じていたりもします。最後はブラックホールについての解説で終わります。
 こんな研究に文部科学省から補助金が出ているというのも、笑いごとじゃないかもしれません。

補助金とコメントがありますが,確認したところ,これは萌芽研究でした.

なお,と学会の原田実氏も「邪馬台国と超古代史」を寄稿されておりますし,他の記事も面白いです.
懐疑論者・民俗学者・心理学者・精神学者等には,「オカルトの惑星」はお勧めです.