封印作品3部作

以前,安藤健二さんの作品を紹介しましたが,
言葉狩り最前線 - なぜか数学者にはワイン好きが多い

Amazon.co.jp封印作品の謎: 安藤 健二: 本

Amazon.co.jp: 封印されたミッキーマウス美少女ゲームから核兵器まで抹殺された12のエピソード: 安藤 健二: 本

これもよく調べてある労作です.帯には「安藤氏の著作を読むたびに激しい嫉妬のねに駆られる(深町秋生:作家)」とあります.天野ミチヒロ氏の作品とかぶっているのも多いですが,「NEVADAちゃん」や「埼玉県発O157萌え」については,安藤氏の圧勝です.

新刊書いくつか - なぜか数学者にはワイン好きが多い

封印作品の憂鬱: 安藤 健二: Amazon.co.jp: 本

この作者は,本当に凄い.

安藤健二 - Wikipedia

今回も,1500円で「ドラえもん」「ウルトラマン」「涼宮ハルヒ」の3章のみで,どれも対象は発表年代が違う(強いて言えば,ハルヒはわりと最近で,ドラえもんウルトラマンは時期的には近いのかもしれませんが...)ので全部に関心がある人は多くないかもしれませんが,特撮ファンはウルトラマンの章を,コミックファンはドラえもんの章を,21世紀オタクはハルヒの章を読めば十分に満足がいく気がします.

ちょっとだけ補足です.

実のところ,一作目の「封印作品の謎」は,私が買った単行本バージョン
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じゃなくて,文庫本バージョン
http://www.amazon.co.jp/%E5%B0%81%E5%8D%B0%E4%BD%9C%E5%93%81%E3%81%AE%E8%AC%8E%E2%80%95%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%BB%E3%83%96%E3%83%B3%E3%81%8B%E3%82%89%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%BE%E3%81%A7-%E3%81%A0%E3%81%84%E3%82%8F%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%AE%89%E8%97%A4-%E5%81%A5%E4%BA%8C/dp/4479300996/ref=sr_1_3?ie=UTF8&s=books&qid=1228227556&sr=1-3
を買う方が正しい.
(なんと同じことをアマゾンの書評で書いている人もいるくらいです)

理由は,文庫版の前書きの著者自身の文章に尽きます.

文庫化によせて

(中略)
出版時には類書の前例がないということもあり,わずか8枚の引用図版しか掲載できなかった.そのため今回は計40枚と大幅に引用図版を増やした.また,諸般の都合でカットした関係者の証言も,わずかではあるが加えた.
(後略)

さりげなく書いてありますが,増えた図はインパクト大です.例えば,ウルトラセブン第12話の章で,幼女連続殺人事件で死刑になった宮崎勤の肉筆手紙や,かの大伴昌二バージョンの「怪獣ウルトラ図鑑」の被爆星人スペル星人の写真が載っています.また,怪奇大作戦第24話では,謎の封印作品復活組織グリフォンの広告やダイレクトメール(まぁ,その暗躍が,「封印」から「完全封印」にさせたというのは著者も指摘しているところですが...),禁じられたオペの章では,手塚治虫ブラックジャック封印作品のシーンが多数,しかも修正前と修正後の
シーンが掲載されていたりします.なによりも,障害者差別解消運動に取り組んでいる人からのリクエストに応じて描いたという,車椅子に乗っている鉄腕アトムと,それを押すヒゲオヤジのイラストは秀逸で,手塚作品の暖かさが実感できます.

加えて,巻末の「現在では視聴困難になっている著名な作品のリスト」も,更新されている上に,単行本では「<テレビ><映画><漫画><ゲーム>」だったのが,文庫本では「<テレビドラマ><映画><漫画><テレビゲーム><文芸><音楽>と大幅に充実しています.

しかも値段が当然文庫の方が安いです.
(私は単行本はJR駅の本屋で1480円で買い,文庫本は近所のブックオフで450円で買いました)