正準変換の神秘

物理法則というのは不思議なものです.
以前,一次元2粒子のカロジェロ・モーザー模型と呼ばれる超可積分系の話題を書きました.
1次元2粒子カロジェロ・モーザー模型 - なぜか数学者にはワイン好きが多い
その中で,次のような変数変換を行うと綺麗になることを書きました.
 p_1=p_x+p_y, p_2=p_x-p_y, q_1=\frac{1}{2}(q_x+q_y), q_2=\frac{1}{2}(q_x-q_y)

この変換はpx,py,qx,qy,qxからp1,p2,q1,q2に変数変換していますが,これは都合の良いように根拠無く変換したわけではありません.
これは,次のような母関数から求められる正準変換です.
 W=q_1 p_x+q_1 p_y+q_2 p_x-q_2 p_y

具体的に計算すると分かるのですが,次のようなシンプレクティック性が保存されます.
 dp_x\wedge dq_x+dp_y\wedge dq_y= dp_1\wedge dq_1+dp_2\wedge dq_2

この日記で述べた全保存型差分法を使うと,変換前も変換後も完全に自由度の数+シンプレクテイック性(+時間対称全保存型差分法だと,時間反転性)の保存量を保存します.

変換でぜんぜん違う世界に飛んでいるのに変わらないものがあるというのは,私は不思議に思います.