Multisymplectic?

tullio2005-06-09

研究のネタがないかと思って,

Geometric Integration Preprint Server
http://www.focm.net/gi/gips/

を見ていたら,2003年の最初の論文でマルチ・シンプレクティックという知らない言葉がありました.
見逃してた手法か?!("-";)!!と思って調べてみると,PDE用の用語らしいことが分かりました.

元々,シンプレクティック数値積分法は,ハミルトンの正準方程式に対する数値解法でした.基礎的な運動方程式というのは時間発展の方程式ですから,ODE,常微分方程式なわけです.(正準方程式の右辺には偏微分が現れますが,それは置いておきましょう)

ところで,偏微分方程式の数値解法には,差分法に基づく手法が使われます.差分法,有限要素法,境界要素法...
数値解法を導く場合,時間方向と空間方向に分けて考えることが多いです.例えば,空間方向に差分をとって時間方向にはRunge-Kutta法を使うとか,空間方向に2次の差分を取って時間方向には1次の差分を取るとか.まあ,問題によります.

ざっと論文に目を通した限り,マルチシンプレクティック法というのは,時間方向にも空間方向にもシンプレクティックな解法となっていることを指すようです.残念ながら私は主に時間発展に興味があるので(*)境界条件がある問題は当分扱う予定はないのですが,アプローチの方法の一つとして覚えておくことにしましょう.

(*)なぜなら,一般相対論的な光線の運動方程式常微分方程式だから