ドキュメント ヒトラー暗殺計画

JR東京駅地下の八重洲地下街古書店,R.S.BOOKSで買いました.
ヒットラーによるユダヤ人虐殺の話じゃなく,ヒットラーによるドイツ人虐殺の話です.
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%92%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC%E6%9A%97%E6%AE%BA%E8%A8%88%E7%94%BB-%E3%82%B0%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%8E%E3%83%83%E3%83%97/dp/4562041439
400ページを超えるハードカバー本ですが,一気に読んでしまいました.

目次によると全部で5章から成る本ですが,大きく分けると前半と後半に分かれます.
前半は,有名なビアホールでのヒットラー爆殺未遂を扱った事件.後半は,こちらも有名なドイツ軍将校による1944年7月20日事件です.

疑似科学について調べていたことがあったので,ビアホール事件については,子供の頃から知っていました.
カール・エルンスト・クラフトの悲劇
ナチス占星術師の一人,クラフトが予言していたと言われている事件です.
ヒトラー暗殺計画」では,この爆破事件が,強い意志を持った,しかし無名の一市民であった孤高の英雄,ゲオルク・エルザーがヒトラー暗殺を考え始めてから,実行し,失敗し,ゲシュタポに捕まり,拷問され,しばらくの間,「比較的」穏やかな強制収容所生活を送ったあと,1945年4月9日にSSによって後頭部を打ち抜かれて殺されるまでが記されています.


後半は「7月20日暗殺未遂事件」の張本人である,英雄シュタウフェンベルクについてです.
クラウス・フォン・シュタウフェンベルク - Wikipedia
シュタウフェンベルクは,本書の9割がたのページに登場する不屈の英雄として扱われています.伯爵で参謀本部主席,体制に逆らわなければ何一つ不自由なく暮らせただろうシュタウフェンベルクが,気が狂いそうな多忙とプレッシャーがかかる生活の中,ドイツ軍参謀かつレジスタンスのリーダーとして信じられない強い意志と行動力を貫き,最後に殺されたことが書かれています.


シュタウフェンベルクに勝るとも劣らない英雄としては,ハラルト・ペルハウ牧師が書かれています.直接的にクーデターに関わった将校と比べると暗い華やかさは小さく書かれていますが,間違いなくペルハウも英雄でしょう.私は無神論者,いや,スパモン教者ですが,ペルハウ氏の信念を貫いた生き方とそれによる人類に対する業績を読むと,宗教の良い面が感じられてしまいます.


このような戦後の反省や科学的な研究結果を見ると,ヨーロッパに比べて日本はいかに幼稚か,ということが圧倒的に実感してしまいます.
悪夢のベトナム戦争に10年間を費やし,今また5年間を同じ悪夢の戦争に時を費やしているアメリカと,アメリカに服従している日本は同じです.
あの世から,片目や指を失ったシュタウフェンベルク候が,日本を笑っている声が聞こえるようです.なんと情けない民族なのだと.
ググルとシュタウフェンベルク氏を含めて詳細に書かれたページがありました.
ヒトラー暗殺未遂事件・ワルキューレValkyrie作戦;鳥飼行博研究室