好きな研究を

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070716i501.htm?from=main5

若手の研究者は、仕事時間の20%を自由に使って好きな研究を――。日本物理学会(坂東昌子会長)が、こんなユニークな提言を発表する。
 「20%ルール」は米企業「グーグル」などが取り入れて、社員のやる気を引き出しているが、学会が呼びかけるのは異例。背景には、博士号を取得しても、希望する研究職につけない「博士余り」の問題がある。若手博士の視野と発想力を広げ、企業など幅広い分野で活躍させるのが狙いだ。

ここまではマトモなのですが,ビックリなのが次の文章です.

博士余りは、産業界の受け皿が少ない生物科学と、物理などの基礎科学分野で深刻。

えぇぇぇぇ?!バイオサイエンス(産業界の受け皿が少ない生物科学?)やナノテク(物理などの基礎科学分野)って,数少ない産業界で今のところ(今だけ?)受け入れられている研究分野だと思うのですが.あとはせいぜい,コンピュータサイエンス
確かに「物理などの基礎科学分野」でも,宇宙論なんかやってて雇ってくれる企業は少ないですし,数論が専門であっても企業から引く手あまたとはいかないでしょう.だから,「仕事時間の20%を自由に使って好きな研究を」ではなく,「仕事時間の20%を使ってた分野の研究を」と薦めるべきです.でなければ,そんなことはせずに,自分の専門分野を極めた方が良いです.学問が細分化され,深く狭くなってしまう傾向は恐らく戻りません.

万能の天才はもう現れないでしょう.その代わり,例えば私が数学と物理と情報科学に関連した研究をやっているように,万能じゃなくても少しずつ重なった分野の研究をしている「ちょいと広く研究をしている」研究者が集まることによって広くだんだんと深く,研究を進めることができるようになると思います.

だいたい,論文を発表するのに,お金がかかり過ぎます.各学会は,論文の別刷り代を,あと20%ほど安くしてくれませんでしょうか.そうしたら,もっとバリバリ書けるかも...かもしれません.