こころの科学 Vol. 131 「双極性障害」

http://www.nippyo.co.jp/maga_kokoro/hm131.htm
日本評論社の雑誌は好きでわりと買うのですが,この号は特集の双極性障害(躁かつ鬱病)のほかにも,いくつか面白かった記事がありました.
例えば,

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2006年の通常国会で,学校教育法の改正が可決され,2007年4月から全国的に「特別支援教育」が実施されることになった.
(中略)
そして,特別支援教育の視点として,(1)算数・数学の授業や指導法,(2)人間関係,特に対人関係のコミュニケーションの問題,について提案する.

本書では,「水道方式の算数指導法に勝るものは他にありません」としている.

数学者であり,社会運動や教育啓蒙活動でも有名だった遠山啓先生の水道方式って,久しぶりに名前を聞きました.
私は1972年に再販された,

遠山啓編,現代化数学指導法辞典,明治図書出版株式会社,初版1971年

という本を今でも持っています.オイルショックの頃に4000円で発売されたものなので,当時としてはずいぶん高かったのじゃないかと思いますが,内容は「さんすう」から「数学」にまでおよび,値段相応の価値がある本です.


その他にも,

  • 連載 学び方の違う子どもたち 軽度発達障害を支援する:異邦人ではなく隣人として

アスペルガー障害の子どもと大学院時代に接した経験を語っていて,ちょっとじーんときました.

  • 連載 都市型臨床の時代:「激励禁句」神話の終焉

特集である双極性障害の半分の,うつ病について.「うつの人は励ましてはいけない」という言葉のまる暗記の批判です.まるで物理学のエントロピー増大の法則を誤って丸暗記して,「秩序はかならず無秩序に移行する.もしダーウィンの進化論が正しいとすると,逆にだんだん秩序ある方向に生物が変化していくことになる.これはエントロピー増大の法則に反する.だからダーウィンの進化論は間違っていた」という,創造論者・インテリジェントデザイン論(ID)の話に酷似しています.


「励ましてはいけない」というのは,プレッシャーを与えてはいけないという意味で,あらゆる状態で絶対に「頑張ろう」という意味合いの言葉をかけてはいけない,というわけではないと.その通りだと思います.