Stäckel系の全ての保存量を保つ離散化

今日,京大の峯崎先生から,上のようなタイトルの論文が届きました.これは京大の中村佳正先生にお願いしていたもので,京都大学数理解析研究所講究録というものに収録されていて,そこらの図書館じゃ手に入らなかったので困っていたものでした.中村先生,峯崎先生,どうもありがとうございました.

シンプレクティック数値積分法がシンプレクティック性を保存し,それにより「影のハミルトニアン」が保存されることは新しい数値解析法の研究の幕開けを予感させる衝撃的なものでしたが,「全ての保存量を保存する」というのは,また衝撃的なものでした.
この論文の短所は,峯崎先生が自らおっしゃっているように適用対象が可積分系に限られることです.しかし,何と言っても丸いブラックホール,いわゆるシュヴァルツシルト時空は可積分系で,しかも何の変数変換をしなくてもStäckel系のハミルトニアンを持ちます.すなわち,アインシュタイン相対性理論の離散化が,一定の条件の下で可能となります.
峯崎先生へのお礼のメールには書きませんでしたが,この方法とシンプレクティック数値積分法は,恐らく何らかの関係があり,融合あるいはそれに近い手法が導けるのではないかという気がしています.

なにはともあれ,中村佳正教授,峯崎征隆博士,ありがとうございました.