食人

tullio2006-03-22

人食い人種は都市伝説か? - なぜか数学者にはワイン好きが多い

で書いた通り,「図説 食人全書」(「Cannnibales」,Martin Monestier,大塚宏子訳,原書房)という本を読んでまして,通勤時間だけを利用してだいたい読み終わりました.

今のところ,内容の信憑性は確認できていません.ただ,予想以上に作者が博識で,日本語訳413ページを読破して内容を論理的に理解して論旨を解読するのはかなり困難なことが分かりました.この本のもっとも悪いところは,第4章,日本語版p. 52にて,『19世紀になると民俗学者たちは人肉食い(アントロポファジー)と食人習慣(カニバリズム)とを厳密に区別するようになる.』と紹介しつつ,その直後,同ページにて『本書ではこれにこだわらずにどちらも使うつもりである』と開き直っているところです.僕はかなりこれで混乱しました.

著者の博識については疑う余地はなく,参考文献こそありませんが世界中の食人文化に触れ,臓器移植と食人の心理学的類似性にも言及し,さらには食人の枠を超え「草食動物を肉食動物に変えた」狂牛病の問題にも言及しています.

そんな中で一箇所だけ笑えたのは,かの現代日本サブカルチャー文化で有名な,「パリ人肉食事件」の佐川氏についてのところです.これは”そういうコメントをした医学者がいた”ということを著者が紹介しているだけで,笑えたのは著者のせいではありません.とりあえず何が書かれていたかというと,

殺されたのはオランダ女性ですか.これで少し説明がつきやすくなります.15世紀にオランダ人は通商のために日本に滞在していました.(中略)日本人がオランダ女性に引かれるというのは用意に理解できます.

電車の中で噴出しそうになりました.フロイト主義の人たちはこんなアホなことを言わないように気をつけて下さいまし.