キング「メイプル・ストリートの家」


こちら,もともと,キングのたぶん唯一のクトゥルーものの作品「クラウチ・エンド」のために,ブックオフで350円で買ったものでした.
クラウチ・エンドは,もともともともと,「クラウチ・エンドの怪」として国書刊行会のむっちゃ高いハードカバーの本でしか読めなかったので,文庫で読めるようになったのはありがたいことです.


ただし,この短編集の中で一番ぶっ飛んでいたのは,表題である「メイプル・ストリートの家」だったように思えます.
キング自身は,あとがきで

リチャードの尖った筆跡で書かれたメモがついていた.「君はこれが気に入ると思う」とだけ書かれていたが,じっさいそれ以上の言葉は必要なかった.わたしは一目で気に入った.

と原案となった文章を絶賛していますが,実際に「メイプル・ストリートの家」を読んでみると,キングが大好きな話に仕上がっているのが分かります.すなわち,家族や友達など人のつながりがあり,かつオチが限りなくB級で,深い意味を求めて読むタイプの人にはなんて思うか想像するのも悲哀が伴います.

ちなみに,私はB級大好きなので,非常に楽しく読めました.小説版の「ドリームキャッチャー」辺りが面白いと思った人には,お勧めかと思います.テレビドラマで言う,「トワイライト・ゾーン」や「クリープショー」の雰囲気が満載です.