トンデモ本の面白さ

見知らぬ知人が何冊かの本を送ってくれたのですが,そのうちの一冊がこちら.
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%99%E3%81%A7%E3%81%AB%E5%AE%87%E5%AE%99%E4%BA%BA%E3%81%8C%E8%A9%B1%E3%81%97%E3%81%8B%E3%81%91%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99-%E7%94%B0%E6%9D%91-%E7%8F%A0%E8%8A%B3/dp/4938907496

まさに「タイトルだけでトンデモ本と分かる」一冊ですが,一番面白かったのは,このような頁です.

エピソード1:地球SOSに宇宙人が応答した!

日本各地の天文台が一斉に宇宙人探しにのり出すことになった.世界で初めての試みだという.

ということで,朝日新聞2008年6月19日という記事(タイトル「『宇宙人』探せ」)を載せているのですが,その記事の署名者(執筆者)まで載せているところが爆笑でした.
その記者は,「と学会で一番のデバンカー」と呼ばれる人で,「宇宙人は今のところはまったく存在を信じていない」と公言している人.その人の文章を「宇宙人が応答した!」というタイトルのコラムに採用するところが,「ああ,あの人のこと,知らないんだろうなぁ」と笑えます.


その「あの人」は,ダン・ブラウンのベストセラーが嘘まみれだと世界でも最も早く,最も詳しく書いた本を出しました.面白かったです.

なので,別な記事,
http://www.asahi.com/science/update/0318/TKY200903180278.html

 「反物質」を使った兵器づくりなんて、現実の世界ではあり得ません――。米映画「天使と悪魔」の封切りを前に東京大の早野龍五教授(物理学)が18日、異例の記者会見を開き、反物質研究について誤解をしないよう訴えた。

 反物質は、通常の素粒子とは逆の電荷を帯びた「反粒子」からなる。物質と反物質が出会うと消滅し、大きなエネルギーが発生する。

 映画は「究極の大量破壊兵器」をつくるため、欧州合同原子核研究機関(CERN)から反物質が盗まれるという筋書き。ロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演で、5月15日に世界同時公開される。ダン・ブラウン著の原作も世界的なベストセラーだ。

 CERNでの反物質研究に実際に参加している早野教授は会見で研究の歴史などを解説。「反物質は、現在の科学技術では1グラムつくることさえできない。爆弾をつくるのは全く不可能だ」と強調した。

についても,東大教授本人が「ヤボだとは思っているが」と言っていても,作者がダン・ブラウンなら,嘘だと指摘せざるを得なかった心境が察せられます.
反物質は恐ろしい」(嘘です.物質と結びつけば確かに激しいエネルギーを放出しますが,その意味では反物質にとっては物質が恐ろしい存在です.だいたい,仮に恐ろしい反物質が大量に手に入ったとすると,恐ろしすぎて地球くらいは吹き飛んでしまいます)とか,「イルミナティ」(出た!ムーの読者御用達の秘密結社!)とか,面白いとか言う以前に失笑してしまうキーワードが続出です.


さて,宇宙人と言えば,アメリカはニューメキシコ州ロズウェルが有名ですが,そのニューメキシコ州にして,宇宙人ならず地球人に対しては良報が届いています.

http://mainichi.jp/select/world/news/20090320k0000m030049000c.html

 ニューメキシコ州死刑廃止法は、死刑廃止の代わりに保釈の可能性のない終身刑を規定。既に刑が確定している2死刑囚の減刑はない。リチャードソン知事は死刑廃止に反対していたが、「潜在的に無実の人の命を奪うことは、人類にとって絶対にやってはならないことだ」と署名の理由を説明した。

そう,「冤罪の可能性がゼロでは無い」の一言だけでも,死刑制度は廃止に値するという私の考えは,変わっていません.この報道の説明は,同じ意見です(「潜在的に無実の人の命を奪う...」).