読売新聞&文部科学省:統計の偽り

まいど,政府発表を垂れ流すマスコミです.
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070825ig90.htm

 今春、高校を卒業した現役の大学・短大進学率が初めて5割を超え、51・2%となった。大学の志願者数も、3年前に文科省が立てた予測より10万人も多い77万人に上った。
(中略)
 文科省は「景気回復が要因の一つ」と説明する。「超氷河期」と言われた就職難が改善される中、若者はより理想に近い就職先を目指し、一層の高学歴を求めるようになっている、という分析だ。

これの元ネタは,こちら.
平成19年度学校基本調査速報について−文部科学省

3 卒業後の状況
高等学校等進学率(通信制課程を含む)は97.7パーセントで前年度と同率,大学等進学率(現役)は51.2パーセントで初めて5割を超え過去最高

大学進学率が過去最高だと,アンダーラインを駆使した手放しの自賛状態です.

しかし,ここに数字のマジックがあります.

http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/07073002/002/sanzu07.pdf(PDFファイル)
または
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/07073002/003/002.pdf(PDFファイル)
を見てみましょう.
高校卒業者数自体が,戦後最低の人数になっていることが人目で分かります.
下記の表を見て下さい.卒業者数が最低人数になっているでしょう.

年度 卒業者数大学進学者数就職者数それ以外の人数
2004年度1,202,738人568,336人206,751人78,870人
2005年度1,171,501人578,094人208,815人66,364人
2006年度1,147,035人587,381人211,072人59,906人
念のため,人数を割合に直した表も書いてみます.
年度 卒業者数大学進学者割合就職者率それ以外の人数
2004年度1,202,738人47.3%17.2%6.6%
2005年度1,171,501人49.3%17.8%5.7%
2006年度1,147,035人51.2%18.4%5.2%
要するに,大学進学率は前年度と比べて増加しましたが,就職率も増えている.つまり,大学進学をあきらめて高校を出てすぐに仕事に着いた人が増えたということです.もちろん,自分がやりたい仕事があり,高校を出てすぐに好きな仕事に着いた人も多いことでしょう.しかし,100万人の卒業者のうち,21万人が大学に行かなかった・行けなかったというのは,良く受け取って良いのかどうか...高卒という未成年のうちは,個人的には,大学に行って進路を悩んで欲しいと思います.

幸い,進学も就職もできなかった「それ以外の人数」というのが減っていますが,「死亡・不詳の者」が2006年度が2005年度の2.9倍(140名→410名)って,何なんでしょう?