5000年前の男

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この氷の中から発見されたミイラ状態の死体,当時,ずいぶん話題になりました.この本には,表紙を含めて8枚ほどのカラー写真,それから本文中に沢山のモノクロの死体及び死体周辺で見つかった遺物の写真も多数あり,非常に面白いです.
推定,紀元前約3300年前の人間の死体.よって,現在から計算すると約5000年前の人間の姿というわけです.
この本では,1990年代後半に発表された詳細な調査報告が記されています.その内容を信用するとすると,約5000年前,人々は糸を紡ぎ縄を作り,バッグや衣服をまとい,刃物や矢といった武器を作り,広い範囲の土地を活動範囲としていたとのこと.
電化製品こそ無くても,今とある意味ではそれほど変わらない文化的な生活を送っていたわけです.
トンデモさんの主張の中で,しばしば「ピラミッドは宇宙人が作った.なぜなら,当時の科学力であのような高度なものが作れるはずが無い」と言った論法が見られます.しかし,それがいかに過去の文明をバカにしている主張かが...考古学系の本を読むと感じます.
訳者の畔上司さんが後書きで曰く,

「紀元7000年」と聞いて,まず何を思い浮かべるだろうか?
「そんなこと言われたって,5000年も先の未来なんか分かりっこない」
確かにそうだ.一体どんな時代になっているのか想像も及ばないというのが,正直なところ.21世紀や22世紀なら目前だから多少は予想もつくが,紀元7000年なんて言うと「そんな時代が本当に来るのかな」と考えてしまうほどはるかな未来,めまいを覚えるような果てしなき未来の時間だ.

だが今ここに,5000年という悠久の時間を「体験」した人がいる.先頃ヨーロッパ・アルプスで遺体が発見された男性Aである.

男性Aは,様々な登山用具を持って旅をしていたと推定されるそうです.
タイムマシンに乗って現代へようこそ,という感じです.