読売新聞社説

いつものことながら,文章も論理もヘンですねぇ.
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060624ig91.htm

国など外部からの研究費は、大学が窓口となって受け入れ、研究者に渡している。過去にも不正を見逃していた早大は、研究費の管理がルーズだったと言わざるを得ない。不正の全容解明と同時に、チェック体制の強化が要る。
こうした不祥事は、東大で2003年に、著名教授による研究費の不正利用が発覚するなど、国内の大学や研究機関でも相次いでいる。政府は、他の大学や研究機関にも、不正を防ぐ厳しい体制を作るよう求める必要がある。

この辺は,まあ良い気がします.が,

不正の動機として共通するのは、研究室の運営費作りだ。研究者の急な出張や会合などのために、物品購入などで不正に捻出(ねんしゅつ)した金をプールする。
早大の例でも、問題の教授は、年度内に使えなかった予算を、研究室の運営や後の研究に取っておくつもりだった、と調査委に釈明している。

釈明(=いいわけ)を信じて「共通する不正の動機」と断言しないで下さいよ...
どんなに貧乏な研究室でも,国内出張費くらいは何とかなるもんです.
まあ,研究室の運営費作りが大変なのは確かですが...

近年の科学技術予算の急増も背景にある。2006年度は3兆6000億円に達し、数億から数十億円の研究費を1人で得る研究者もいる。著名な研究者には国の複数機関から研究費が支給され、使途の管理が不十分になる例もある。

数億から数十億を1人って...それは相当に珍しい例です.それは誰ですか?そしてその研究の期間は?
例えば科研費なら,下記のように最大でも年間数億です.
研究種目・概要 | 科学研究費助成事業|日本学術振興会
CRESTでも数億,
http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/intro/jigyou.html
SCOPEで数千万,
総務省|戦略的情報通信研究開発推進事業|戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE) 事業の概要
あとはNEDOや企業からの受託とかでしょうか.
だいたい,上記のような競争的資金はどれも応募するのが普通なので,著名な研究者じゃなくても複数期間から研究費を得るのはごく普通のことです.

科学技術予算が3兆6000億っていうのは,「文教及び科学技術から義務教育費国庫負担金をひいた額」のことですかね.
平成18年度文教及び科学技術予算のポイント(政府案)(PDFファイル)

そしたら,国立大学法人運営費交付金1兆円とか,21世紀COE300億円とか,大学に対する予算がだいぶ入ってるじゃないですか!研究者・科学者のモラルのお話に組織に対する補助金を持ち出すなんて,論理のすり替えです!

どうも,行き当たりばったりで議論も調査もしないで書き散らしているようにしか見えないんですが...