JR東日本ホテルズ フォルクローロ大湊

取材のため,青森に出張に来ました.
JR駅の,一つしか無い出入り口を出るとすぐ左に見えるという,凄い立地が良いホテルです.

http://folkloro.jp/ominato/

ネットはイーサネットの口が着ており,持参したケーブル経由で接続すると,5Mbpsくらい出ました.それほど速くは無いですが,自宅のADSL回線と同じくらいなので,普通に仕事ができました.
空の冷蔵庫,湯沸かし器,シャンプー,リンス,ボディシャンプーと一通り揃っていますが,ボディスポンジのようなものは流石にありませんでした.でも使いませんでしたが,ランドリーも洗剤含めて無料だそうです.
近くに夜の10時まで開いているワインも売っているスーパーがあり,便利でした.

ただし,夕食を取るには近くに店は10件もありません.
そんな中で,たまたま飛び込んでアタリだったのは,次のお店でした.

居酒屋 伝ちゃん/むつ商工会議所飲食店情報
↑このページには「やきとり」とありますが,焼き鳥の他にも青森名物「味噌貝焼き」(3センチ近くも深さのある,ホタテ貝のカラで煮込まれました),馬刺し(青森に行くと放牧されているのが目に付く青森産の馬の肉),タケノコ焼き(アスパラのような感じでした),魚貝の刺身等,何でも美味しかったです.
(ただ,さすがにワインは無かったので,ビールだけを飲んでいたのですが...)

「信じぬ者は救われる」読んだ

以前,サラッと触れたのですが読んでいなかったので言及しなかった,菊池誠香山リカ著「信じぬ者は救われる」を買って読んでみました.
エセ科学,擬似科学,トンデモ科学... - なぜか数学者にはワイン好きが多い
物理学者と精神医学者の対談ということで,それぞれの御専門の話題が書かれているのかと思って読まずに触れるのはマズいと思っていたのですが,読んでみると物理学,精神医学の世界の話はほとんどありませんでした.いえ,それは本が面白くないという意味ではなく,疑似科学(菊池さんの言う「ニセ科学」)を本当に中心に据えている内容という意味で,「科学的にウソなものはウソ」というはっきりとしたスタンスが面白かったです.

一つだけ気になったのは,ある程度,疑似科学に知識が無いと,分からないだろうなぁと思う文章が多量にあったことくらいです.これは,職場の疑似科学業界に素人の数名がこの本を貸してくれと言ってきているので,感想を聞いて考えてみようと思います.
その業界素人(どんな業界だ,と植木不等式さんが書いておられましたが...)の人は,本の帯の

江原啓之さんをウソ発見器にかけてみたい!

という文句を面白がっていました.私は特に面白いとは思いませんでしたが.
同様に,背表紙の帯には,このようなお二人の発言が引用されています.

香山:
知識は役に立つとかだけではなくて,多分,考えを自由にしてくれるとか,幅を広げてくれるとかいうことが理解できればいいですよね.
菊池:
格差社会とかワーキングプアとかいう現実があるときに,あきらめてしまわないために必要なのは,やっぱり知識でしょう.

これも科学の大切さについて述べている文章ですが,本文の中にはもっと面白い文章がたくさんあります.私としては,次の発言を帯に入れるべきだったと思いました.

菊池:
おしゃれなマイ・バッグをつくって,レジ袋を使わないというのはいいアイデアだと思うんです.
香山:
そこでニセ科学も,信じるのはカッコ悪く,科学的なのはカッコいいとか言うようになればいいんですけど.
菊池:
マーケティングの問題だという話はずっと言っているんですよ.科学はニセ科学マーケティングで負けているから,マーケティングを考えなくてはいけないと.

科学者は一般人に対する科学の啓蒙活動が足り無すぎると再三書いている(自分に対しても)私としては,この辺りの文章はえらく感動しました.

もう一つだけ気になったことを書きますと,やはり菊池さんが「水からの伝言」について述べられておられる箇所で,物足りなさを感じました.菊池さんは「水からの伝言」が教育現場で使われたらしいことを厳しく批判なさっているのですが,その発端の教育法則化運動について,そもそも「水からの伝言」を道徳教育や理科教育に使う以前に,法則化運動自体が問題を持っており,長い間批判(そして信者獲得)があったということに全く触れられていません.
菊池さんは,たまに当日記にコメントを下さいますが(どうもありがとうございます.ほとんどお返事を書けずにすみません),法則化運動について述べられたものを聞いたことはありません.

Wikipediaに法則化運動のページがあり,ブログ等では菊池さんも法則化運動について触れられているので,菊池さんが法則化運動の問題点を御存知な可能性は高いです.
TOSS - Wikipedia

教育技術法則化運動

向山洋一は「よい教育技術があっても、個人の秘密にされたり、師範大学などがなく直接教師が教えられる場面がないため、教師の間にその技術が広まらない」という問題意識を持っていた。

ニセ科学入門

 この話などはもはや科学を装ってすらいないと思うし、ちょっとでも常識があれば笑い飛ばす程度の話だったはずである。その意味では、これまでに述べてきた「ニセ科学」よりもオカルトに近い。ところが、これが”実験結果”として本に掲載されているというだけで科学的事実と思い込む人たちもいるのである。しかも、仰天することに、これを小学校の道徳の教材として使っている先生たちが少なからずいる。「言葉は水の性質を変える。人間の身体は多くの水分を含むのだから、言葉は人間の身体にも影響する。美しい言葉を使いましょう」というわけだ。

 この授業がTOSS(教育技術法則化運動)と呼ばれる運動に参加する小学校の先生のあいだで広まっている。事実、私の友人の娘さんは授業参観の機会にこの授業を受けたらしい。

私は,法則化運動そのものが大いなる問題点を持って何十年も活動している以上,それとニセ科学を一緒に扱うことは,問題点が曖昧になってしまうと思います.

ただ,「信じぬ者は救われる」という本は,疑似科学業界の用語解説もあり,スピリチュアルから波動,オーリングテスト,コールドリーディング,マイナスイオン,詭弁手法としての二分法など話題豊富で,対談形式ということもあり業界素人の人たちでも軽く読んで勉強になると思いますので,とてもお勧めです.
1400円です.買っておいて損はありません.