2010年ノーベル賞に喜んでいてはいけない

確かに物理学と化学の日本人ノーベル賞受賞者が,2000年くらい以降,増えているのは事実です.
しかし,相変わらず名誉賞的に老人にしか与えられていません.化学賞の田中博士は別ですが...
少なくとも,日本人に限らず,理論物理学ノーベル賞が与えられないのは間違っている
受賞されない日本人ノーベル賞候補者 - なぜか数学者にはワイン好きが多い
外村博士に至っては,田中博士と同様企業に属していますが,理論物理学に対して量子力学上の観測問題を実験的に証明していて,ノーベル賞が与えられない理由がありません.

そんなことよりも,日本が危機的なのは,いくら実証的な化学や物性物理学の分野でノーベル賞を取っていても,フィールズ賞受賞者が出ていません.

今年のフィールズ賞,ネヴァンリンナ賞,ガウス賞,チェーン賞は以下の通り.

http://www.icm2010.org.in/prize-winners-2010

Fields Medalists 2010
Elon Lindenstrauss
Ngô Bảo Châu
Stanislav Smirnov
Cédric Villani

Nevanlinna Prize 2010
Daniel Spielman

Gauss Prize 2010
Yves Meyer

Chern Prize 2010
Louis Nirenberg

伊藤清先生がガウス賞を取って日本数学会なんかで話題になりましたが,フィールズ賞受賞者は京大の数理解析研究所(今も所属変わってないかは確認してません.すみません)の森重文先生が最後.
要は,老人は賞を取ってるけど,若者は賞を取っていないということです.
※森先生のようにフィールズ賞を取っている人は老人じゃありません.老人は受賞対象になりませんから

反面,現在,自然科学と技術工学の両方の分野で研究開発を行っていますが,私自身,特に認められるような成果があげられているわけではなく...道を誤ったかなと.思ったり.
私もフィールズ賞は欲しかったです.トポロジー,保存量,一般相対論もしくは紐理論,regge calculus的な離散重力理論の統合で,そこそこイケないかなぁと若いころは思っていました.
やっぱりnatural scienceなりengineeringなり,専門に特化すべきなのかな...いや,でも両者の掛け橋的なことは誰かがやらないとならないと...信じたいです.
もう自分はいいので,もう少し若い人に,その役目を譲られて欲しい今日この頃です.
もういいやと思っているので仕事も辞めてもいいなぁと思いつつも,ここで自分が辞めたら本当に科学と技術の架け橋を継いでくれる後輩がいなくなってしまいそうで躊躇してますが,特に関心を持ってくれている人はいないから,結局いないということでいいのかな...私の生涯の試みは大失敗ということで.