懲りない柳田理科雄氏...

以前,柳田理科雄氏は,山本弘氏に,以下のように批判されておりました.

これらの設定はどれも作品中には出てこない.みんな柳田氏が考えたものなのだ.何のために?
おちょくるためだ.「そんなことがあるわけない」と嘲笑うためだ.そのために彼は,作品中の描写や設定を無視し,考えうる妥当な解釈から目を背けて,その現象が不可能になるよう数値や設定をでってい上げるのだ.

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AB%E3%83%98%E3%83%B3%E3%81%A0%E3%81%9E-%E3%80%8E%E7%A9%BA%E6%83%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6%E8%AA%AD%E6%9C%AC%E3%80%8F-%E5%B1%B1%E6%9C%AC-%E5%BC%98/dp/4872336593
(「こんなにヘンだぞ!『空想科学読本』」,2002年第1版第1刷,p. 246)

そう,確かに柳田氏は,勝手に自分に都合の良い仮定をさり気なく作るクセがあります.例えば.
http://news.ameba.jp/r25/2009/07/41569.html

人類が宇宙で子孫を繁栄させて、数百万年経たとしたら…。果たしてどんな姿になっているのでしょう?
やっぱ宇宙では筋肉を使わないから、手足がひょろひょろになって、頭が大きくなって火星人みたいな姿になるんでしょうか。…火星人見たことないけどね。
空想科学読本』の著者であり、空想科学研究所・主任研究員の柳田理科雄先生に話を聞いてみました。

こんな疑問は,もっともです.
(なぜ生物学者や宇宙物理学者じゃなくて,柳田氏に聞くのかは疑問ですが)
それに対し,柳田氏は,さり気なく恐るべき仮定を置きます.

「仮に、水と空気が確保され、宇宙放射線を遮断した無重力下のスペースコロニーで、人類が数百万年暮らしたと仮定しましょう。その場合、やがて脳の発達が見られると思いますが、それは重力がないから脳が発達するんじゃなくて、数百万年も経つといろんな突然変異が発生するからです。なかには脳が大きいものも小さいものも誕生するでしょう。地上では脳が大きすぎると運動能力に支障が生じますが、無重力なら問題ありません。物理的な問題がなければ脳は大きい方が様々な情報を素早く処理できるなど、都合がいいので、その子孫が生き残る可能性は高いでしょうね」

...いや,水と空気の確保はともかくとして,なぜ無重力????
過去数千年に渡って,人類はニュートン万有引力の法則および摩擦力の原理に基づいて生活してきたため,今後,無重力で生活する可能性は低いと思われます.
むしろ,山本氏やロバート・フォワード,アーサー・クラーク,石原藤夫氏,金子隆一氏も論じておりますが,どうやって重力を確保するかを考えるのがサイエンティストでしょう.
よって,この記事の柳田氏のお話は,全て前提からおいて間違っているとまでは言わなくても少数派の意見であり,読むには値しないでしょう.