毎日新聞が書く無知科学記者の論説

正気なんでしょうかねぇ...
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20071002k0000m070174000c.html

特に若い牛だと発見できる可能性がゼロに近いため、厚生労働省は2年前「20カ月以下の牛は検査対象から外す」とした。しかし、自治体から全頭検査の継続要望が強く出され、結局、検査費用に補助金を出し、全頭検査が続いている。

 感染牛が計100万頭以上も発生した西欧諸国でさえ、全頭検査は実施していない。検査をしても感染牛の一部しか見つからないからだ。

 これに対し、日本では当時の農林水産相らが「全頭検査は世界一厳しい検査だ。これで安全」と説明したため、国民は「全頭検査で安全が確保される」と信じてしまった。

いやいや,トンデモなご意見です.
発見できる可能性がゼロに近いから検査を止める」???ゼロではないことは認めてるのですよね.プリオン感染牛が1頭でも発見できたら,というか発見できなくて市場に出てしまっては大変じゃないですか!狂牛病クロイツフェルト・ヤコブ病がどれくらい恐ろしい病気か,知らないのではないかと思ってしまいます.


確かにヨーロッパもアメリカも,全頭検査はしていないかもしれません.しかし,数頭でもBSE感染牛が発見されれば,検査実施の有無に関わらず20万頭,30万頭と一気に牛を処分してしまいます.
可哀想ですが,現在のところ死亡率100%,動物と人間,人間と人間でうつる病気であれば仕方がないと思います.それなら一頭でも発見する方が良いでしょう.以前の日本のBSE騒動を忘れたのでしょうか?経済損失・農家への補償等で,3000億円以上が消えたのですよ.それを防止するのに「無駄遣い」とは...

それに20ヶ月という基準だって曖昧です.
20ヶ月というのは,BSEの原因がプリオンかどうか怪しいとか,BSEの研究者でノーベル賞受賞者であるガイジュセック博士やプルシナー博士には人間性に問題があるとか言う周辺の話題と同じくらい,怪しいものです.


農水省相が「これで安全」と説明した?
これについては,「狂牛病プリオン」という本で強烈に皮肉られています.
http://www.amazon.co.jp/%E7%8B%82%E7%89%9B%E7%97%85%E3%81%A8%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3%E2%80%95BSE%E6%84%9F%E6%9F%93%E3%81%AE%E6%81%90%E6%80%96-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97-%E3%83%A4%E3%83%A0/dp/4791762533
まず,アイザワトシユキ/ロイター社による写真のキャプションの文章.

2001年10月,日本における最初の狂牛病発見の直後に坂口力厚生労働大臣(当時)と武部勤農林水産大臣(当時)が,ジョン・ガマー英国農相(当時)の先例にならって,牛肉の安全性に対する信頼を表明している図.間もなくさらに数頭のBSE牛が発見された.

それから,本文.

1990年にジョン・ガマーが娘をまきこんで赤恥をかいたのを思い出させるような一シーンで,2001年10月に日本の武部勤農相はテレビカメラの前で焼肉をぺろりと平らげ,こんな旨い牛肉は初めてだと明言した.

しかし,ここは正しいです↓.

では、何が安全性の対策かといえば、主に危険部位の除去と飼料規制だ。日本の食肉処理場でも危険部位を除去しているが、気がかりなのがピッシングと危険部位の舌扁桃だ。

 ピッシングは牛が暴れないよう頭部にワイヤ状の器具を差し込み、脳組織を破壊する作業だ。もし感染牛にワイヤを差し込むと異常プリオンが血液に流れ、肉を汚染する可能性があるため、欧米では絶対禁止となっているが、日本ではいまだに半分近い処理場が実施している。

「日本ではいまだに半分近い」というのは,本当か知りませんが.
しかし,最高にバカバカしいのは次の文です.

検査の有無よりもピッシングの有無、舌扁桃の切除法の表示こそが知りたいが、肝心なことは全く知らされない。

「知らされない」って嘆いていないで,自分で調べろよ!(笑).新聞記者でしょうが!