9.11陰謀論 再考
試しに真正面から反論しようかと思ったのですが...
9.11 陰謀論 - なぜか数学者にはワイン好きが多い
非常に難しいことに気付きました.気付くのが遅い...(バカ>自分)
ちょっと資料を見たらすぐに分かるのですが,まさに南京大虐殺やナチスのホロコーストの問題とそっくりなのです.
南京大虐殺については,作家・と学会の山本弘さんが,面白い表を作って下さっています.
定義バラバラ「南京大虐殺」
30万人派 | 過大派 | 適性派 | 過小派 | まぼろし派 |
30万人以上 | 20万〜10万 | 数万人 | 1万人〜数百人 | 数十人〜0 |
中国共産党*,アイリス・チャン*
| 井上久士,江口圭一,笠原十九司,高崎隆治,姫田光義,本多勝一*?, 藤原彰,吉田裕 | 板倉由明*,秦郁彦*,原剛 | 岡崎久彦,櫻井よしこ,田辺敏雄,中村粲,松村俊夫 | 阿羅健一,大井満,小林よしのり,高池勝彦,田中正明, 東中野修道*,冨士信夫,藤岡信勝,渡辺昇一 |
× | × | ○ | × | × |
*印のついた論者は、無回答、もしくはすでに物故されていて、このアンケートに参加しなかった人。その著作や報道から僕が判断して、表に含めた。
「9.11陰謀論」も,定義がバラバラなんです.「9.11は全てアメリカ政府の陰謀だった」という人もいれば,「9.11は,アメリカ政府が手助けをしていた」「9.11は,アメリカ政府は計画を知っていながら阻止しなかった」等々.
もっとも,きくちゆみ氏が絶賛するhttp://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4846107132/250-2273753-8604217?SubscriptionId=0G29D5M45W1WBZM573G2については,同じ著者の本がケチョンケチョンにけなされています.
Skeptic » eSkeptic » January 23, 2006
This consumes far too much time and effort for conspiracy buffs like Griffin.
(超訳)
グリフィン氏のような陰謀論好きには,この本は多大な時間と労力を浪費させる...
例えば,このページにはこのような問いがあります.
9・11事件は謀略か - 「21世紀の真珠湾攻撃」とブッシュ政権 - 日本語 - ¥2,800 : GPCストア, 「平和に関する商品一覧」
ツインタワーは航空機の衝突・炎上では崩壊しない、爆破解体されたのではないか?
これに対し,建造物の振動や破壊のプロフェッショナルであるProtec Documentation Services社
Protec Documentation Services, Inc.
は,以下のようにバッサリと切り捨てています.
#1: The collapse of the towers looked exactly ike controlled demolitions.
Protec: No the did not.
(以下,説明が続くのですが,略)
去年のSKEPTIC誌でのことです.
Skeptic » The Magazine » Volume 12 Number 4 Table of Contents
Cover Story
9/11 Conspiracy Theories
The 9/11 Truth Movement in Perspective by Phil Molé
What Demolition Experts Say About 9/11
Is there evidence that explosives caused the collapse of the world trade center buildings as many conspiracy theorists claim?
結局のところ,9.11テロ事件が存在した事実自体は誰もが認めているので,誰かが「あれはテロだが,ブッシュが指令を出した」言ったら「そんなアホな」と反論しなければならないし,他の人が「あれはテロだが,ブッシュの側近が密かに指令を出して実行したものだ」と言えば,また「そんなアホな.その証拠は...」と,無限に反証しなければならないのです.
これこそまさに,反証責任は定説を訴える側ではなく,定説を覆そうとする人にある典型例でしょう.
アメリカ政府が進展を口実にしたとしても,まともに考えて,ビルの崩壊がおかしいと考えるアメリカ人は,もっとおかしいです.
テロ戦争の意図と現実
WTCのツインタワーは、旅客機(らしきもの)が突っ込んだ後に崩壊したが、その崩壊の様子を見た多くの建築専門家が「ビルは旅客機の衝突で崩壊したのではなく、あらかじめ爆弾が仕掛けられていたのではないか」と指摘している。米政府は、こうした見方を、無根拠な間違いと一蹴しているが、その7時間後に突然起きたWTC7の爆破崩壊は「WTC7にも爆弾が仕掛けられており、犯人の手違いで爆破時刻がずれたのではないか」と、謀略説を分析する人々の間で考えられてきた。前出の世論調査によると、米国民の67%は、WTC7の奇妙な崩壊についての真相究明が足りないと考えている。
アメリカ人なんだったら,英語のSKEPTIC誌,読めばちゃんと説明が書いてあるじゃないですか...民族差別はしたくないのですが,「奇妙な崩壊」と本当に考えているんだったら,頭,悪いです.
さらに,こんな文庫本の最後に,9.11に直に関わった著者の文章があります.
http://www.amazon.co.jp/%E6%AD%BB%E4%BD%93%E3%81%8C%E8%AA%9E%E3%82%8B%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%A8%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B0/dp/416765153X
家に帰ってテレビの前にすわると恐怖感に襲われた.そうして実際にツインタワーが崩壊するところを見ると,ふつうの人がすぐにはわからないことが,わたしには経験でわかったからだ.まず生存者はほとんどいないだろうということ.そして犠牲者の遺体は見分けがつかないほど損壊を受け,しかも鉄やコンクリートその他の瓦礫と混ざり合ってしまっていることだ.
この後,死体のプロフェッショナルである著者は現場で働きますが,アメリカ政府の公開調査書に反する記述はありません.
陰謀論者は,このような良心的な多くの関係者も全部陰謀の口止めをしているというのでしょうかねぇ.
実際には,ビルが航空機の突入じゃなくて爆発物によって破壊されたなどというのは,南京大虐殺やホロコーストが無かったというような与太話なのでしょう.
そして同様に,あれはアメリカ政府の自作自演だったという話は,今後何十年も続くのでしょう...
恐らく真実は,山本氏が南京大虐殺の考察で述べているように,比較的中間,事件はアメリカ政府主導では無いテロだったが,アメリカ政府はその後それを口実に利用した,というところなのでしょう.
しかし,雑誌なり本なりを読んで陰謀論を信じてしまう人は増えるのでしょう...